PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座 第22回「涙骨賞」を募集

縮む仏教界 「関係人口」開拓めざせ(4月25日付)

2025年4月30日 09時35分

米国の世論調査研究所ピュー・リサーチセンターは近頃、仏教国の中で日本の仏教離れが最多という調査結果を発表した。それによれば、仏教徒として生まれ育った日本人は、成人になって40%が自ら無宗教を自認しているという。

なお、同センターは過去に、日本の習俗事情も重視した報告も出しており、宗教離れを相対的に理解する見解も示している。これは、日本人なら感覚的に分かることだと思う。仏教徒として生まれ育っても、それは形ばかりのもので、本人は信仰者という自覚は薄く、改めて「あなたの宗教は」と問われたので、無宗教と回答した可能性も考えられる。

従って、仏教離れと言っても、積極的に“棄教”しているわけではなく、葬儀や墓参りなどを通じて、何らかの形で仏教につながっている事例は数多い。けれども、そのつながりが希薄化したため、日本では仏教離れが進んでいるという統計として表れているのではないか。もちろん、仏教界では宗門や寺院、僧侶などの単位で、様々な取り組みを進めているのは言うまでもない。

この取り組みを進めるヒントに、地域づくりに関してよく言われる「関係人口」を増やすという考え方がある。この言葉は、地域づくりの担い手になる人々を指す行政用語として総務省などで用いられ、地方創生に関する各方面で注目されているものだ。

地域に住んで暮らす人々を「定住人口」という。一方、観光などで訪れた一過性の人々は「交流人口」である。「関係人口」とは、いわば観光以上・定住未満の人々の在り方で、その地域に多様な関わりを持つ自由な人々である。こうした人々こそ、地域づくりに欠かせない存在である。農業体験や祭礼への参加、地場産業や文化伝承でリピーターになっている人々など、「関係人口」をうまく確保して地域づくりに貢献できた成功例も数多く報告されている。

この発想は、「人口」が縮小する仏教界にも十分当てはまるだろう。寺院は檀信徒という「定住人口」のみに拘泥するのではなく、仏教の教えや行事に親しんでくれる「関係人口」の開拓にも努めるべきである。幸い仏教には宗教文化面での魅力的な社会資源を数多く有している。

そもそも日本は仏教国で、誰もが潜在的な仏教の「関係人口」なのだ。だからこそ寺院の門を開き、工夫を凝らしていけば、潜在的な「関係人口」は顕在化してくるはずだ。そうすれば、無宗教と回答した人々も再度、仏教徒だと自認し直すことになるに違いない。

宗教と災害支援 地域に根を下ろす活動の中で(7月9日付)7月11日

日本では病院のチャプレンが普及していないが、災害支援活動においては宗教者や宗教団体の働きが活発になされており、行政もそのことを認知する度合いが高まってきている。災害後にボ…

鎌田東二氏逝去 越境する学者が目指したもの(7月4日付)7月9日

宗教学者の鎌田東二氏が先頃亡くなられた。神道学の出身であるが、民俗学、死生学、比較文明論、スピリチュアル研究など多方面にわたり斬新な探究を進めた。鎌田氏は様々な学問を横断…

ガザ無差別攻撃 武力信仰が支配する世界(7月2日付)7月4日

「膨大な軍事力でガザを無差別攻撃するイスラエル軍と、素手でがれきをどかし犠牲者を助け出そうとするガザ市民。この不釣り合いと不条理に怒りと心の痛みが募り、その日が広島原爆忌…

総門をくぐり金堂に進列する吉田化主

大師の教え救いに 吉田新化主、初登嶺 総本山智積院

ニュース7月11日

平和声明でロシア批判 侵略国有利の和平抵抗 WCC中央委 モスクワ総主教庁、協議会の「政治化」抗議

ニュース7月11日
清水良正・次期宗務総長

次期宗務総長に清水良正氏

ニュース7月11日
このエントリーをはてなブックマークに追加