総説キリスト教神学 21世紀の神学体系…M・L・ベッカー著、加納和寛訳
本書は、キリスト教神学の入門編である基礎神学のテキストだ。著者は実際にアメリカのヴァルパライソ大で教壇に立つ神学者であり、ルター派の牧師でもある。そんな神学研究の第一線で活動する著者が、現在の大学におけるリベラルアーツの教育で、今、どのように神学を講義しているかを取り扱う。
神学は、主に神学校や教会あるいは修道会立の教育機関などで研究されるもので、多くの一般大学生は「キリスト教神学とは何か」といった学術的主題に真剣に取り組むことはないし、現代の神学にまつわる諸々は意味不明なものでしかないだろう。だからこそ著者は「宗教的」でない学生に、そういった議論について考えてもらいたいと願って本書を書いたと述べている。
つまり、本書は一様ではない宗教的背景を持つ学生に対する講義集でもある。キリスト者だけでなくキリスト者でない人のためにも書かれているため、神学とは何か、何を学問し何を追究するものなのかを詳しく知ることができる。各章の終わりごとに「復習とディスカッションのための問い」が用意され要点を再確認できるようになっており、また「さらに学ぶために」参考文献が訳者による注釈と共に列記されている。現代の神学体系を学ぶのに最適な一冊と言ってよい。
定価1万3200円、教文館(電話03・3561・8446)刊。


