宗教界歳末回顧 節目となる年、節目とする年(12月24日付)
1995年3月20日に起きたオウム真理教による地下鉄サリン事件から今年で30年となった。後継団体への警戒を促すべく、公安調査庁は2月21日に「オウム真理教問題デジタルアーカイブ」をウェブ上に公開した。宗教情報リサーチセンターは3月25日にシンポジウムを開催し、事件から何を教訓とすべきか議論した。その概要は「ユーチューブ」の「RIRCチャンネル」で公開されている。
高額献金問題などで社会的な批判を浴びている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、東京地裁は3月25日に解散を命じる決定を出した。教会側は即時抗告した。韓国でも家庭連合の韓鶴子総裁が、政治資金法違反などの容疑で9月23日に逮捕された。日韓で旧統一教会に厳しい目が注がれている。
戦後80年を迎え、多くの宗教団体が慰霊や平和祈願の行事などを行った。キリスト教関連では植民地支配と戦争の遂行に加担した加害の歴史に向き合う姿勢が少なくなかった。過去から何を学び教訓とするかを考えるのは、宗教団体にとっても必須である。
世界に目を向けると、4月21日にはローマ教皇フランシスコが死去し、教皇選挙(コンクラーベ)が行われた。5月8日にレオ14世が、初の米国出身の教皇として第267代教皇に選ばれた。新教皇は就任後すぐにロシアとウクライナの和平交渉への意欲を示し、ロシア総主教の特使と会談するなどしている。ガザでの紛争に対する国際社会の道義的責任に言及するなど、平和への願いを強く表す活動を開始した。
他方、教皇の出身地米国では、トランプ政権下で福音派の原理主義的主張が目立ってきている。またピュー・リサーチ・センターが10月に発表した調査結果では、宗教が与える影響が強まっていると感じる回答が31%で、2006年以来の高水準になった。
中国では習近平国家主席が推し進める「宗教の中国化」の具体策が次々と出されている。国家宗教事務局は中国国内における外国人の宗教活動の管理に関する規定の実施細則の改定を5月1日に発効した。宗教活動が国家、民族統一、宗教的調和、社会の安全を損なってはならないと明確にした。
9月7日には国家宗教事務局が「宗教教職人員のオンライン行動規範」を公表した。インターネット活動はライセンスを得た宗教団体、学校、寺院等を通じてのみ可能と規定された。公共空間における宗教の位置付けが、国によって大きくぶれる兆しが見えていることを注視しておきたい。







