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宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

年始寸感

〈コラム〉風鐸2026年1月14日 11時29分

観音様としては珍しく――おそらく唯一――怒っている。その顔は、不動明王か愛染明王と見まがうほど恐ろしい。髪は逆立ち、まさしく「怒髪天を衝く」といった様相を呈している。剣や斧を手にするところも、観音様らしからぬ印象を強くする◆これは、頭上に馬頭を冠した馬頭観音のこと。六観音の一つで、六道のうち畜生道の衆生を救うとされる。代表的な仏像では、いずれも国の重要文化財に指定される真言律宗浄瑠璃寺(京都府)、真言宗智山派竹林寺(高知県)の木造立像などが知られる◆なぜ、憤怒の相なのか。その怒りによって、畜生道にいる者を惑わす魔障を滅するためという。馬頭を頂くのも、飢えた馬が草をむさぼり食うように、煩悩を食い尽くす働きの象徴という。恐ろしい表情とは裏腹に、その功徳は観音様らしい慈愛にあふれている◆2026年、うま年を迎えた。競馬にたとえるなら、ゲートが開かれ各馬一斉にスタート、といったところか。ゴールははるか先だが、この一年、馬頭観音が伴走してくれると思えばどうだろう。妄念にとらわれることなく完走できそうな気がしないでもない◆無事これ名馬。競馬の格言は言う。日に千里を駆ける駿馬になれなくてもいい。何馬身離されても構わない。迷いや惑いに身もだえする日もあるだろう。それでも一歩一歩、今年を健やかに走り抜けられますように。(三輪万明)

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長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
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