伝道宗教か?
本紙1月1日付の座談会「ニューカマーと排外主義」は在留外国人が増加する日本社会の現状を受けた企画だが、参加者の一人である金子昭・天理大教授が次のように語っていたことが印象に残った◆「新宗教やキリスト教は、伝統仏教とはいささか事情が違うようにも感じました。これらの宗教は基本的に伝道宗教で、信仰を媒介にして人々の共同体をつくる。ですから地域社会と外国人の仲介役を担うというよりは、むしろ日本人と同じように外国人への布教伝道が主になると思います。在日ブラジル人や在日ベトナム人に布教している天理教の教会もあります」◆檀家制度の崩壊など教勢の衰退に直面する伝統仏教教団も近年は新たな信者獲得が大きな課題で、都市開教をはじめとする様々な布教戦術が模索されている。例えば「伝道教団」を自称する浄土真宗本願寺派では教団外の人々を想定した「伝わる伝道」と題したプロジェクトに傾注している◆もっとも、そこに在留外国人コミュティーへの伝道まで視野に入れた発想やスケールはない。金子氏の前記の発言で重要なのは、伝統仏教教団を「伝道宗教」とは見なしていない点だろう。不特定の人々に対する街頭布教などに当たり前に取り組む天理教に所属する同氏にとっては自然な感覚なのかもしれない。一体「布教」や「伝道」とは何なのかと考えさせられる。(池田圭)







