PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第23回「涙骨賞」を募集

自死遺族の苦と対峙 救えないが救いたい

兵庫県丹波市 臨済宗妙心寺派成徳寺 河合宗徹住職

「苦しむ人を見ると助けずにいられなかった維摩居士のようにありたい」と語る河合住職 「苦しむ人を見ると助けずにいられなかった維摩居士のようにありたい」と語る河合住職

「“寄り添う”という言葉が嫌いです」

自死問題に長年向き合ってきた河合住職は、そう言い切る。きれいごとはいくらでも言える。しかし、本当の意味で人に寄り添うことは容易ではない。多くの自死遺族と接し、深い苦しみに触れたからこそ重く響く。

河合住職は幼少期、薬害による大腿四頭筋短縮症を患い、脚に不自由を抱えて育った。この経験が苦しむ人や命の問題に関心を寄せ、支えたいと思う原点になっている。

自死問題と正面から向き合うことを決めたのは、親友の自死が契機だった。遺族を支援し、追悼法要を行う超宗派団体「自死に向きあう関西僧侶の会」に参加。現在は副代表を務めている。

活動中、ある場面を目にした。遺族から「〇〇は成仏しましたか」と問われ、浄土真宗の僧侶が「浄土へいかれました」と答えた。その遺族は「そんな遠くへ行ってほしくない」と涙ながらに言った。

僧侶は教えを説き、助言を与える存在とされる。しかし、安易な言葉で遺族の苦痛や自責の念を癒やせるのかと自問自答する。答えのない問いに、軽々しく答えるべきではないと感じるようになった。

その中で出合ったのが「傾聴僧の会」だった。傾聴は、相手の話にただ耳を傾け、心を変えようとするのではなく、心が変わることを支える。状況ではなく受け止め方を見つめ直す仏教の教えにも重なっていた。

「早く仏さんに迎えにきてほしい」と嘆く高齢者に「そんなこと言わず頑張って」と言わない。ただ聴く。すると、自ら苦悩を話してくれる。今は自身の経験を生かして花園大で傾聴を教えている。

それにとどまらず活動は多岐にわたる。保護司歴は約40年。犯罪者の更生に尽力した。妙心寺派の人権擁護推進委員会委員長に就任し、軽視されてきたものも含めあらゆる差別問題を網羅した『人権ハンドブック』の作成にも取り組んだ。

「寄り添う」「人を救う」。実際の苦しみの現場に深く踏み込まず、軽々しく並べられる言葉は、時に偽善と空虚さを帯びる。

「人は救えません」と河合住職は言う。それでも「救いたい」。その思いで、障害、自死、犯罪、差別などに向き合ってきた。「維摩居士は苦しんでいる人を見ると助けずにいられなかったといいます。私も維摩居士のようにありたいと思っています」

(田代文成)

「仏教に縁のなかった方もライブペイントを通じて仏様と出会ってほしい」と話す長谷川副住職

ライブペイントで教化 悩む人に仏様「処方」も

11月6日

法務の傍ら、絵師として寺院などでライブペインティングを披露する。書道パフォーマンス用の紙を数枚貼り合わせ、背丈を超える大きな作品を短時間で描き上げる。10月は真言宗智山派…

講座のお題を解説する木下住職

写仏講座続けて約45年 仏様と楽しい対話を

10月23日

元々、絵を描くのは得意だった。かつて青年会の講座で写仏をした際「あ、自分でも描けるんだ」と気付いて以来数十年、豊山派仏教青年会による写仏講座を中心に、写仏に関わり続けてい…

ピアノの生伴奏で歌謡曲を楽しむ集いでギターを手に熱唱する平田住職

互助で看取りの共同体 亡き医師の志に沿い実践

10月9日

13年前から「完成期医療福祉」の一つの形として「二十五三昧会」と名付けた互助活動を自坊で実践している。きっかけは医師の故神代尚芳氏の最期の願いだった。 二十五三昧会とは約…

寺院存続の危機 信仰の継承こそ喫緊の課題(11月4日付)

社説11月6日

核のゴミ最終処分場 未来の子孫の安全を(10月30日付)

社説11月4日

AI僧の登場 学び合えるのは人間同士(10月28日付)

社説10月30日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加