瑩山紹瑾『伝光録』全訳注…木村清孝著
永平寺を開いた道元禅師と共に、曹洞宗の両祖としてあつい信仰を集める瑩山紹瑾禅師が正安2(1300)年から住持した加賀・大乗寺で修行僧らに行った講義をまとめた『伝光録』の全文現代語訳と注釈を収録する。仏教学者で曹洞宗僧侶でもある著者が、初学者にも理解しやすい平易な日本語で全編を丁寧に読み解いている。
『伝光録』は、釈迦牟尼仏に始まり、西天二十八祖、東土六祖を経て、青原行思禅師、洞山良价禅師につながる曹洞宗の仏法が、天童如浄禅師、道元禅師、懐奘禅師に相承されるまでの53人の祖師について、その生涯や悟道の因縁を講述し、祖師の境涯を受け止めた瑩山禅師自身の偈文を提示する提唱録で、インド、中国、日本の三国伝燈を示したものとして高く評価されている。道元禅師の『正法眼蔵』と比較すると一般の知名度は低く、平易な現代語訳が刊行された意義は大きい。
底本は、現存する最古のテキスト「乾坤院本」を用いた。転写の過程で部分的な誤写があった可能性があり、本文中にも誤字、脱字、補字が疑われる箇所があるが、恣意的な判断は避け「底本を始めとする諸本の書写と伝承は、可能な限り真摯に行われ、伝えられてきた」という立場で訳し、明らかな落丁にだけその旨を示し、注記を加えた。
定価4620円、佼成出版社(電話03・5385・2323)刊。






