PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

「物を慈しめる生活を」と語る遺品整理士 林邦子氏(51)

ほっとインタビュー2025年4月25日 11時11分
「物を慈しめる生活を」と語る遺品整理士 林邦子氏 はやし・くにこ氏=1974年、奈良県下市町生まれ。外資系企業や特養などで勤めた後に結婚し、夫婦で建築設計事務所を運営。2012年に遺品整理士と古物商の資格を取得。11年設立の遺品整理士認定協会によると、約6万人が遺品整理士に認定されている。

遺品整理や生前整理の仕事に携わって15年。奈良県生駒市に「一林」の屋号を掲げ、1カ月で約20件の依頼を受ける。遺品整理は単なる物の処分ではなく、思い出の詰まった数々の遺品と別れを告げる儀式であり、遺族が人生のリスタートを切れるよう後押しするのが遺品整理士の役目という。

岩本浩太郎

遺品整理のお仕事を始めたきっかけは。

林 15年ほど前に実家の曹洞宗興大寺(奈良県下市町)の檀家さまからその方の母の着物について相談を受けたのがきっかけでした。残念ながら私の経験が浅かったために処分することになりました。今でしたら古物商として現金で買わせていただいて、着物を収納されていた和だんすの処分費用に充てることができたはずでした。

その後、そういうお困りの方の力になれないかと思い、遺品整理士や古物商の資格を取り、司法書士や廃棄物処理のノウハウを持った方など私にできない部分を教えてくださる方に集まっていただける場をつくりました。次第にご相談が増え、依頼主さまからも「あなたがいてくれると心丈夫だわ」と言っていただけるようになりました。

遺品には値が付く物とそうではない物に大別されると思うのですが、それ以外に残す、残さないの判断基準はあるのですか。

林 最初に施主さまにお探しの物をお聞きします。もちろん、印鑑や思い出のアルバムなどは取っておくようにしますが、中には調べるのに時間のかかる物もあります。

例えば、ご両親の会話を録音したカセットテープを依頼された時は、何百本ものカセットテープが残されていて、それを全て段ボール箱に入れてお渡ししました。「2030年までに開封しなければ処分」と期限も決めました。

どうしてですか。

林 カセットテープは劣化するからです。処分の時期は物の性質によって異なります。例えば仏像でしたら、ただ保存しておくのではなくて、誰かに手を合わせてもらえるのが本来のお姿。もし信仰心がないのであれば、手放してあげて、仏像を拝んでくださる方にお譲りして差し上げるようお勧めします。

区切りを付けさせてあげるのも大切なのですね。

林 施主さまは故人が大切にしていた物を手放すことに少なからず罪悪感を抱いていらっしゃいます。親類から非難されることもあれば、家の引き渡しなどで時間的余裕がなく、急いで整理して後で後悔される場合もあります。

しかし物には一定の使用期限があって、家も…

つづきは2025年4月9日号をご覧ください

多数の戦争を目にした元NHKヨーロッパ総局長 髙尾潤氏

多数の戦争を目にした元NHKヨーロッパ総局長 髙尾潤氏

9月17日

取材者として長年世界を見てきた中で、国家と宗教が結び付き、戦争や対立が正当化される場面を多く目にしてきたという。とりわけロシアではロシア正教会がウクライナ侵攻を積極的に支…

「地震工学」の生みの親 土岐憲三氏

「地震工学」の生みの親 土岐憲三氏

8月27日

最大震度7の熊本地震が7月28日に発生し、大きな被害が広がった。各地で地震が頻発する中、南海トラフ地震など巨大地震への備えが改めて問われている。地震災害の専門家として京都…

親鸞の和讃を歌う作曲家 平田聖子氏

親鸞の和讃を歌う作曲家 平田聖子氏

7月23日

親鸞聖人の和讃を歌詞とする作曲で知られ、プロや真宗各派の合唱愛好家と和讃を歌うコンサートシリーズ「親鸞が音楽で現代に甦る。」は17日の名古屋公演で節目の第10回を迎える。…

「公共」という視点 固有の「善」を認め合う社会(10月2日付)

社説10月7日

『釜ケ崎と福音』 支えられる側にこそ力が(9月30日付)

社説10月2日

異文化伝統との共存 外国人労働者問題への視点(9月25日付)

社説9月30日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加