みんなちがって、みんないい。金子みすゞの童謡にみる命の尊さ…鍋島直樹・古荘匡義編
「みんなちがって、みんないい」と歌った「私と小鳥と鈴と」などの代表作で知られる童謡詩人・金子みすゞ(1903~30)の分け隔てのない優しさはどこから生まれてくるのか――。真宗学を専門とする龍谷大教授らが作品の背後に一貫して流れる仏教的価値観に光を当てる。
みすゞは篤信の真宗門徒だった祖母に育てられた影響から、作品の根源に浄土真宗の教えがあることはたびたび指摘されてきた。本書は先行研究を踏まえつつ、みすゞの故郷・山口県長門市の漁師町・仙崎などにも足を運び、詩の背景にある仏教的世界観を探った。
みすゞの詩の特徴は、イワシの大漁に沸く浜の喜びと、海の中の悲しみを鮮やかに対比させた「大漁」に代表されるように、目に見えない存在にも向けられた温かいまなざしにある。本書では仙崎で盛んだったお寺の日曜学校の存在などを紹介。幼少期の環境から、誰一人取り残さずに浄土に迎えてくれる阿弥陀如来の慈悲の心が育まれたと指摘する。
みすゞは2歳で失った父が「仏さま」となって自身を見守り「失くなったものはみんなみんな、もとのお家へかえるのよ」(失くなったもの)という安心感に包まれていたことを読み解いた箇所は本書の真骨頂といえるだろう。
定価2750円、永田文昌堂(電話075・371・6651)刊。





