平和志向への支持 戦争と力の支配からの脱却(7月17日付)
イラン戦争の終結はなかなか見えないが、この戦争によって米国とイスラエルの中東支配が後退していく兆しが見えてきている。湾岸諸国に張り巡らされていた米軍の基地はイランの攻撃によって使えなくなってきている。昨年までイスラエル寄りの立場に立とうとしていたサウジアラビアなど同地域の国々は、今やイスラエルや米国に抵抗する姿勢を明確化するようになってきている。
1990年の湾岸戦争以後、米国とイスラエルの覇権が増していた中東地域は、この半年ほどの間に明確に反イスラエルの立場の姿勢を示し、米国の政治的影響力から脱する傾向を見せている。世界的な展望で言えば、70年代以降、ベトナム、イラン、イラク、アフガニスタンから撤退した米国だが、中東地域全体での軍事的政治的影響力の後退が進む方向性が見えている。
背景にイスラエルによるガザ地区への長期にわたる激しい攻撃があり、子供や女性、医療関係者やジャーナリストなどを含む多数の犠牲者が出て、なおも続いているという事態がある。
ガザ地区だけではなく、ヨルダン川西岸地区でもパレスチナ人の土地を奪い、住民を殺戮したり拉致したりする行為が今もやむことがない。イスラエルのむき出しの力の支配の姿勢は米国の支持と支援があってこそ成り立っていたが、そのことへの批判も広まっている。
国連のグテーレス事務総長は度々、イスラエルの拡張主義による暴虐を批判し、国連総会もイスラエルの攻撃を批判し、パレスチナ人の人権を守るべきであるとする議決を行っている。ローマ教皇も同様の意思表明を繰り返しており、米国との同盟国が多いヨーロッパの国々もイスラエルのガザや占領地からの撤退を求め、パレスチナ国家を承認するものが増えている。
世界の世論は、イスラエルの拡張主義とそれへの米国の後押しを支持しない方向に動いている。世界世論が平和への声を強めているのだ。
仏教など、非一神教的な宗教の影響が強いアジアにおいては、こうした平和への声が高まっていないように見えるが、それはなぜだろうか。また、戦後、平和憲法を掲げ、世界平和への貢献を目指してきたはずの日本において、新たな平和を志向する世界世論の動向を支持する声が乏しいのも残念なことである。
平和を目指し、力による支配に反対するのであれば、米国に依存するのではなく、独自の声を上げる必要がある。そうした方向への脱皮が求められている。






