サッカー通じ地元交流 仏教基軸に子らを指導
横浜市港北区・天台宗正福寺 奥村良玄住職
「子どもは地域の宝」。自身が立ち上げたサッカークラブの合言葉だ。仏教の教えを基軸とするチームは、会員約270人、横浜市大会で優勝するほどに成長した。スポーツを通じて地域の人たちと関係を深め、青少幼年の健全育成に努めている。
正福寺は、2008年に開業した横浜市営地下鉄グリーンラインの東山田駅から徒歩10分ほど。大きなマンションも立つ住宅地だが、同寺の周辺には田園風景が残る。横浜F・マリノスや川崎フロンターレの本拠地も近く、サッカーが盛んな土地柄だ。
在家出身で学生時代はサッカーに熱中し、大学卒業後はコンピューター関連の仕事に就いた。しかし人と関わる仕事がしたいとの思いが強く、退社してブラジルへのサッカー留学あっせん会社を友人とつくった後、01年に「エストレーラフットボールクラブ」を創設した。
妻が正福寺の生まれだったことから僧侶になり、10年に住職就任。サッカー指導に仏教を生かしているつもりはなかったが、教えと合致していることが多いと気付いた。「パスがうまい、得点力が高いなど、それぞれの子に得意なことがある。互いの力を生かすことがチームの勝利につながると言っていたが、まさに忘己利他だった」
仲間と協力することは布施、ルールを守ることは持戒、厳しさに耐えることは忍辱――と、子どもたちに仏教用語を使いはしないが、今では六波羅蜜を指導方針としている。
クラブでは礼儀や自立、協調性などを重んじ、同寺で合宿や坐禅体験も行っている。学業との両立を図り、栄養講習会など食育にも力を入れる。これらは地元の学習塾や企業の協力を得ており、エストレーラでも小学校や保育園のスポーツ指導にコーチを派遣。地域清掃にも取り組んでいる。
「よく、プロになれるのは千人に1人といわれるが、プロになれない999人を大事にしたい。サッカーがうまければいいというのではなく、人間としてのベースをつくりたい。ここで学んだことが長い人生の中で何かとつながればうれしい」と話す。「プレーする子ども、見守る大人、支える企業、あらゆる人たちと共にあり、町になくてはならない存在になれば」と願っている。
(有吉英治)









