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古代伽藍をCGで復元 VR体験 寺の魅力発信

奈良市 高野山真言宗大安寺

復元伽藍をVR体験できるゴーグル型機器を手にする河野副住職 復元伽藍をVR体験できるゴーグル型機器を手にする河野副住職

東大寺などと並ぶ南都七大寺の一つで、奈良時代に国家筆頭寺院として隆盛を誇った大安寺。日本最古の官立寺院・百済大寺の系譜を引く古刹で、平城遷都に伴って現在地に移されると、26万平方㍍の広大な境内に90余りの堂棟が立ち並んだ。

しかし、現在の境内地は最盛期の約4%に縮小し、七大寺の中で最も小規模となった。当時の伽藍は現存せず、かつての境内地には住宅が立ち並ぶ。往時の壮大な姿を想像するのは容易ではない。

失われた古代伽藍を最先端技術でよみがえらせようと、大安寺は2021年に復元CGを制作。今年3月からは、復元した伽藍をVR(仮想現実)で体験できるゴーグル型機器を宝物殿に設置した。

ゴーグルを装着すると、眼前には東西の七重塔や南大門、金堂などの巨大建築が現れる。屋根を支える垂木の一本まで精緻に再現されており、見上げるほどの塔がそびえ立つ光景は圧巻だ。まるで約1300年前へタイムスリップしたかのような感覚に包まれる。

復元には、国立奈良文化財研究所の建築史の研究者らが協力し、最新の研究成果を反映した。企画した河野裕韶副住職(38)は「学術的裏付けを重視して復元しました」と胸を張る。未解明の堂内の様子などのCG化は今後の課題という。

一般公開後は地元の小中学生が体験学習に訪れるようになり、復元CGは地域の歴史を学ぶ教材としても活用されている。河野副住職は「子どもたちが楽しそうに操作する姿を見るとうれしい。この場所にかつて大きなお寺があったことを知り、郷土の誇りとして感じてもらえれば」と期待を寄せる。

制作費は約3千万円。文化庁の補助事業に採択されたほか、クラウドファンディングでも約1600万円が集まった。「熱意を持って思いを伝え続けたことで、多くの方が力を貸してくれました。それも大安寺の歴史があってこそ。これからもその価値を伝えていきたい」

VRのゴーグル型機器は持ち運びもしやすく、寺外でも活用する考え。一方、VR動画のインターネット公開は見送った。寺に直接足を運んでほしいとの思いがあるからだ。

2年後には徒歩数分の距離にJR大和路線の新駅設置が予定されている。VR体験も寺の魅力発信ツールとして、より注目を集めそうだ。

(岩本浩太郎)

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