NPO設立 救いの手、深く 過疎地寺院対策にも力
静岡県富士宮市・浄土宗平等寺 岩田照憲住職
富士山を望む静岡県富士宮市の浄土宗平等寺の岩田照憲住職は、2024年にNPO「ひだまりファミリーステーション」を立ち上げ、子ども食堂や大人食堂、多世代居場所づくり活動、フリースクールなど地域に開かれた様々な活動に取り組んでいる。
同寺ではもともと、サラナ親子教室や子育てサロン、介護者カフェなどの社会貢献活動を展開していた。介護についての悩みや苦労を話し合う場所として18年から行っている介護者カフェの活動を通して「お寺は法事・行事のためだけに行く場所と思われがちだが、本来は悩みを抱えた人たちが集まる場所だったのでは」との考えが強くなっていったという。
宗教法人としての活動では関われる範囲や支援の形に限界があり、様々な理由から地域で孤立している人たちに対して、寺院だけでは福祉ですら支えきれない時代になっていると実感。「もっと困っている人たちに、さらに深く救いの手を」との思いから、NPO法人を設立することにした。
NPO法人化したことで社会的信用にもつながり、助成金活用の道も開けた。行政や企業、他のNPOなど多くの団体と協力しながら地域課題に取り組めるようにもなり、またこれまでの平等寺としての活動では檀信徒が中心だった手伝いも、一般の人がより協力的になった。
毎月開いている子ども食堂では、大人の参加者が「いっぱい食べな」とよその子どもに声掛けをする姿が自然に見られるようになった。皆で食事をしているだけなのに昔の地域の姿が戻ったような気がした、と岩田住職は振り返る。
今後は平等寺だけでなく、教区内の過疎地域の寺院や住職不在の兼務寺などを会場とした、多世代共生・地域活性化支援事業にも取り組む。その一環として6月下旬に同県南伊豆町の金泉寺で、声を出して心と体を整える「読経プログラム」と介護者カフェ、大人食堂を組み合わせた地域の居場所づくり活動を実施。同県の下田市や熱海市の寺院にも活動の輪を広げていく。
岩田住職は「これからの地域社会ではNPOの公益性と行動力、寺院の信頼や精神的な支え、この両方が連携していくことがとても大切。寺院とNPO法人が協力することで、地域の孤立防止や支え合い、さらには寺院再生にもつながる新しい地域モデルをつくっていければ」と展望する。
(佐藤慎太郎)






