PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

「死への援助」法可決 安楽死容認の動きへの懸念(7月29日付)

2026年7月31日 09時36分

フランス国民議会(下院)で15日に「死への援助」法案が可決された。18歳以上の人に医師らが自殺ほう助を行うことを容認するもので、意図的に死をもたらす積極的安楽死を導入するものだ。賛成が291票、反対が241票だった。

すでにオランダ、ベルギー、スペイン、カナダ、ニュージーランドなどで積極的安楽死が合法化されている。英国議会下院では、2025年6月に「支援を受けた死」を認める法案が可決し、賛成314票、反対291票だった。英国の法案の場合、余命6カ月未満と見込まれる人に限定されているが、賛否が拮抗しており、いつ実施に至るか分からない。いったん安楽死や自殺ほう助が容認されると、厳しい限定が次第に緩み、対象者の範囲が広がっていく傾向があることが知られている。

反対する人たちは、障がいや重い病気があり支援を受けて生きてきた人たちが、心ならずも死を選択するような場合が増えるのを懸念している。法律が死を選択することを促すことになり、弱者への支援が軽んじられる効果が生じることだ。

実際、経済先進国では、高齢者や重病の人、障がい者への医療・介護の負担が国家財政を圧迫していると話題になることが増えている。コロナ禍では限られた医療資源を優先順位をつけて用いること(トリアージ)が議論され、場合によっては必要な医療措置を施さない人が出るのを認めることについて論じられもした。

折しも重い障がいのある人々が暮らす相模原市緑区の施設で、元職員が19人の障がい者を殺害した事件から26日で10年たった。犯人は障がい者に話しかけて応答できない場合、人間として生きている意味がないとして殺害していった。犯人は以前から、社会の負担を減らすことで、多くの人が生きていく上で利益があるのだから重度障がい者は安楽死させるべきだと主張する文書を衆議院議長や首相に渡そうとしていた。

その背後には、生産性がなく社会に負担をかける人々は存在価値がないという考え方がある。犯人は多くの人が実際はこの考え方を是認しているのに言わないでいるだけだとし、自分は勇気を持って社会を変えるのだと主張し、不法移民排除を唱えるトランプ大統領を称賛してもいた。

安楽死容認は耐え難い苦しみの中にある人への福音だという考えがある一方、安楽死容認は人のいのちの尊厳を脅かすものだという考えもある。人々がじっくり考えるというプロセスなしに事を進めるようなことはあってはならない。

「いのち」を祀る 靖國・護國は遺族の神社か(8月7日付)8月19日

戦争で亡くなった英霊を祀る靖國神社や護國神社は、遺族の高齢化が進む中で、この先、誰が護持するのかという深刻な問題を抱えている。しかし護國神社の「行く手」にあるのは、行方の…

「多数」のおごり 一内閣で国の形を変えるのか(8月5日付)8月7日

政府主催の4月29日の「昭和100年記念式典」は異様だったようだ。政府からの申し出で天皇陛下がお言葉を述べる機会がなかった。天皇皇后両陛下を式典委員長の高市早苗首相ではな…

二重疎外者への支援 「宗教二世」問題から(7月31日付)8月5日

「宗教二世問題の社会的構築」とのテーマで先日、宗教社会学の会で行われたカナダ・モントリオール大のアダム・ライオンズ准教授の発表は、「カルト」問題を超えて社会的疎外者への対…

寺は地域の支え、炊き出し続ける 熊本地震で被災の宇城市・能令住職 阪神大震災の経験胸に

寺は地域の支え、炊き出し続ける 熊本地震で被災の宇城市・能令住職 阪神大震災の経験胸に

ニュース8月19日
黙とうされる天皇皇后両陛下

「深い反省、不戦切に願う」 決然たる誓い、継承 全国戦没者追悼式

ニュース8月19日
戦没者に供養の誠をささげる光岡宗務総長ら

憎しみではなく共生を 千鳥ケ淵で戦没者追善 日蓮宗

ニュース8月19日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加