内向き傾向への警戒 グローバルな変動に関心を(7月22日付)
今年の7月1日からパスポートの申請手数料が最大で7千円引き下げられた。海外渡航しやすいようにとの意図らしい。外務省の発表では、2025年末時点での日本人のパスポート保有率は、約18・9%と2割にも満たない。米国は約半数、韓国では約6割というから、日本人のパスポート保有率の低さは、いやが応でも目立つ。
出国者数も19年には年間2千万人を超えていたが、コロナ禍による激減からあまり回復せず、25年は1500万人弱である。外国からの訪日客がコロナ禍以前より多くなり、4千万人を超えたのと対照的である。国外に留学する日本人学生も減少傾向だ。文部科学省の発表で、コロナ禍以前の17年から19年までは年間10万人を超えていたのに、24年は9万人少々である。
国外に行く日本人の最近の減少には、出生率の低下に伴う人口の減少や、非常な円安も関係しているのは間違いない。ただこのことは、若い世代を含め、日本人の内向き傾向を助長しかねない。国外への関心の低下は、特に文化交流にとってマイナス面が大きい。
政治、経済だけでなく、宗教でも、国外で起こった大きな問題は程度の差はあれ、大抵は日本に影響をもたらす。米国では福音派の政治への影響は非常に強い。それが米国のジェンダー問題や政教関係での議論にも表れている。中東の宗教問題の複雑さは言うまでもない。ヨーロッパではムスリム移民の増加を背景に、イスラモフォビアは依然として大きな問題である。これらの動向には日本人も関心を深めるべきである。
最近の日本の政策では、外国人就労者が日本で働くことへの厳しさが増している。在留資格の厳格化、ビザ更新料の大幅な値上げなど、日本での仕事を継続しにくくするような方針も出されている。
SNSでは、日本の道徳・倫理など日本文化の素晴らしさを強調した動画が視聴数を得ている。他方で外国人が日本の道徳やルールを守らないことをあざけるような動画が多数アップされている。
グローバル化が進行するほど、宗教文化を含めて様々な文化が入り交じる度合いが高まるのはどの国も同じである。宗教関係者は、地域社会で起こる外国人居住者らとの摩擦や軋轢はどこに根差しているのか、それを探り当てる仕組みを備えているはずだ。
SNSで流されるような無責任な動画に対抗するのは極めて困難だが、目を背けてはいけない。国外に行かずとも、国外で起こっていることや、身の回りで起こっていることに目を向けることはできる。炎上させて喜んでいるような人たちに、屈してはならない。






