血の相続
〈コラム〉風鐸2026年8月19日 13時51分
「皇室典範」の一部を改正する法律が成立した。「皇族数の確保」と聞けば戦後間もなく大宅壮一氏が出版した『実録・天皇記』を想起する。「戦後強くなったのは女性と靴下」など社会風俗を風刺した警句で知られた大宅氏が膨大な資料を駆使して挑んだ圧巻の天皇論である◆今読んでも驚くほど鋭利な言葉遣いで、こんなことを書いている。「『創世記』や『古事記』の神話をそのまま生きた人間に適用しようとする思想が日本の皇室、日本的絶対主義をつくりあげた。その被害者は全日本国民であるのみならず、むしろ天皇こそ最大の被害者である」◆天皇制存続の絶対条件とされているのが断絶のない「血の相続」である。男系男子による皇統維持を志向する限り、時に皇族男子の減少で存続が危うくなる。「旧宮家の男系男子を養子に迎える案」が出てくるゆえんである◆だが天皇の血が入っているのは宮家ばかりではない。「血の点からのみいえば、日本中の大部分が宮家である」という大宅氏の一文には、辛辣な皮肉として片付けられない天皇家の歴史が潜んでいる。(形山俊彦)







