弱くても
〈コラム〉風鐸2026年7月29日 11時36分
高校野球の東東京大会で先日、一部から熱く注目された好カードが行われた。開成対日比谷。全国的に知られる進学校同士の対戦だ◆開成高の野球部は書籍『弱くても勝てます』で紹介されテレビドラマにもなった。「何がなんでもヒットじゃなくて、何がなんでも振るぞ!」という監督の檄が象徴するように、いちかばちかで打撃に全力を注ぐ。安打を重ね堅い守りで勝つ野球では強豪校に到底かなわないからだ◆先日の試合でも開成ナインは初球から積極的に手を出した。それもとてつもない大振りで。三振を重ねたが5回、突如当たりが出て3点先制。日比谷も負けておらず、すぐ同点に追い付く。共に限られた練習環境で努力してきたチームの好ゲームとなった◆弱者が勝者のセオリーに従っていては、負けを繰り返すばかりだ。常識にとらわれない新たなセオリーこそが道を開く。この日、開成野球は勝利を逃しこそしたが、そのモデルを示してくれた。可能性があると思えれば頑張れる。野球エリートではない球児たちの、諦めない姿に勇気づけられた。(有吉英治)





