寄り道人生、無駄ならず
全日本仏教会 中村見自理事長(76)
全日本仏教会の理事長にこのほど就任した。宗門内外の問題に対し「おかしいことはおかしい」と率先して声を上げてきた。任期中には法人創立70周年記念事業も予定されており、その発信力に期待が寄せられている。
鳥取県倉吉市の出身。自坊である曹洞宗大岳院を継ぐ気は毛頭なかったが、兄が別の道に進むことになったため大学進学を前に思いがけずお鉢が回ってきたのだという。
自らの性分を「只管打坐ではなく、むしろ放浪癖。寄り道ばかりの人生だった」と表現する。実際に小学校高学年での家出を皮切りに、高校になると自転車でどこまでも遠出し、学生時代にはバックパッカーも経験した。そうした放浪の中でタイ・バンコクのスラムの孤児院を訪問。決して衛生的とはいえない子どもたちからの熱烈な歓迎に、手を伸ばして応えることができた時「坊さんをやってみるか」と発心することができた。
大本山總持寺での3年の安居を終えて自坊に戻ると、高校の国語教師に、町並み保存や町おこしの活動に、カンボジアとの文化交流にと次々に取り組み、それぞれ大きな成果を上げてきた。「私淑する思想家・唐木順三は現代日本における『途中の喪失』を嘆いたが、その時は無駄に思えることでも何年後かにやってよかったと思えるようになる」と述懐する。
「随所に主となれ」「任に当たって他に譲り難し」が座右の銘。曹洞宗宗議会議員、教化部長、伝道部長としても、自らの判断に従い大きな決断を下してきた。理事長としての短い任期の中でも宗教教育の必要性などを強く訴えていきたい考えだ。
(佐藤慎太郎)






