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ホタルで地元つなぐ 放流や自然環境の授業も

大津市・真宗佛光寺派真光寺 東郷正文前住職

ホタルの捕獲に使う昔ながらの箒を持つ東郷前住職 ホタルの捕獲に使う昔ながらの箒を持つ東郷前住職

大津市の真宗佛光寺派真光寺の東郷正文前住職(86)は、町内で使われなくなった古い生活用具を収集して境内に郷土資料館を開館したり、夏休みのラジオ体操と朝のお勤め、餅つきなどの行事を行ったりと、寺院を拠点に地域の人々と文化や歴史をつなぐ活動を続けてきた。中でもホタルの生育にまつわる活動は30年以上にわたり、養殖や放流、地域の子どもたちを対象にした自然環境学習など幅広く取り組んでいる。

東郷前住職がホタルの生育活動に携わり始めたのは、滋賀県守山市で中学校の教員をしていた約40年前。同市が「ほたるのまち守山」として活性化を図るため、人工河川やホタルの飼育のための研究室を設けた。縁あって飼育を手伝うようになり、かつては数多くのホタルが生息し人々を楽しませていたが水質汚染により絶滅したことを知り、子どもたちにクラブ活動を通して自然環境の大切さを伝えたいと思うようになったという。自坊の近くで捕まえたホタルを子どもたちと学校で孵化させて、河川に放流する活動を毎年行った。

教員を辞め、自坊で本格的に取り組むようになった。捕獲したホタルを孵化させ、自治体や企業、学校などの依頼に応じて放流を手伝ってきた。「ただ多くを放流したらいいというものではない。ホタルの餌になる巻き貝のカワニナが、ホタルが食べられる大きさで十分にいるかが重要。また大雨が降ると流されるから、河川の整備も必要になる」と話す。千匹の幼虫のうち成虫になれるのはわずか10匹程度のため、生息環境を整えるためのアドバイスもしている。

地元の小学校で自然環境学習の授業を行っているほか、ホタルまつりも10年以上続けている。自治会や地域の役員、地元住民らが協力して運営し、今では町の恒例行事となった。近年は遠方からの参加者もおり、今年は約170人が集まった。「ホタルを見たことがない子どもが増えている。まつりをきっかけにホタルの生態や生息地、自然環境が与える影響などに関心を持ってほしい」と話す。

今後について東郷前住職は「年齢的に引退しようとも考えるが、ありがたいことに『来年もお願いします』と声を掛けてくれる人たちがいる。地域が活気づき、子どもたちの笑顔が見られるように、活動を続けていきたい」と語った。

(渡部梨里)

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