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2024宗教文化講座

門戸開放、檀家あってのお寺 社会貢献にも長年尽力

東京都荒川区 真言宗豊山派養福寺 根岸榮宏住職

「お寺は檀家さんあってのもの。偉そうではいけないんです」と話す根岸住職 「お寺は檀家さんあってのもの。偉そうではいけないんです」と話す根岸住職

真言宗豊山派宗務所の教化部長、総本山長谷寺(奈良県桜井市)寺務長など宗派の布教、教化に関わる役職を歴任。自坊・養福寺(東京都荒川区)の興隆に努める一方、約20年にわたる保護司の活動や、茶道裏千家淡交会東京第二東支部の副支部長を務めるなど社会貢献にも尽力し、今年7月に密教教化賞に選ばれた。

榮龍・前住職が1965年に死去し、20歳で住職に就任。当時は大学2年生で灌頂を終えたばかりだったが、数多くの檀家と空襲で焼けた庫裏、書院の再建を背負い、檀務と学業の両立に奔走した。

「跡継ぎを心待ちにした祖母の願いもあり、字の読めないうちから父について本堂でお勤めをして、お坊さんになるものとして育てられた。8歳で得度した頃には、観音経を何も見ずに読めたみたいです」

前住職は事相家として大正大で講師を務め、多くの宗門子弟を指導した。幼少から僧侶として仕込まれてきたが「父にちゃんと教えを受けたのは一度だけ。亡くなる直前、私が本山での実習に行く前に、病床の枕元で少し経を教わった。それが最初で最後」と話す。

父の背中を追うように、自身も事相研究の道に進んだ。檀務の傍ら大学院で学ぶほか、豊山声明の第一人者・中義乗氏の下で声明の研鑽を積んだ。豊山派事相研究所に設立時から研究員として奉職。同派の法会儀則専門委員も務め、宗派の事相研究の礎となってきた。

本山への思いも強く、近隣の同派8カ寺と「下谷長谷寺講」を結成。団参を50年以上毎年続け、本坊を飾る幕や境内の香炉を共同で奉納した。

自坊は早くから「開かれたお寺」を目指し、檀信徒や地域に広く開放している。「うちは昔から子どもたちの遊び場で、自分もこの地域でお世話になって育ったから、門はいつも開けている。お寺は何より檀家あってのものだから、上から目線ではいけない」

地元で長年親しまれる除夜の鐘つきや神社の祭礼への協力に加え、旧知の友人で落語家の三遊亭好楽氏とその弟子らによる寄席は100回近く開かれ、同寺の名物行事になった。近年は長男の栄貴副住職の意見を取り入れ、SNSでの広報や境内のライトアップ、豊山太鼓の演奏など新しい行事も試みている。

「こういう案は自分では思いもつかなかったし、いいんじゃないですか。行事としては赤字になっても、檀家さんに喜んでもらえるのが一番ですから(笑い)」

(伊瀬若葉)

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