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手話付き法話を配信 息子の難聴判明契機に

東京都台東区 真言宗智山派仙蔵寺 青龍寺空芳住職

手話や字幕を用いて法話を伝える青龍寺住職と石川氏 手話や字幕を用いて法話を伝える青龍寺住職と石川氏

真言宗智山派仙蔵寺(東京都台東区)の青龍寺空芳住職(33)は難聴の息子のために手話を学び始めたのをきっかけに、手話通訳士の石川阿氏(33)と協力して手話通訳を付けた法話の動画をインターネットで公開している。

長男が感音性難聴だと分かったのは2020年7月。手話に慣れさせるには2歳半での発覚は遅かった。「なぜ早く気付いてあげられなかったのか」という後悔、「話し掛けていた言葉が聞こえていなかったのか」というむなしさ、将来の不安があったと振り返る。

都立聴覚障害特別支援学校の「乳幼児教育相談」に通う中で、元ろう学校の教師で手話通訳士の石川氏が指導するオンラインの手話教室を知り、手話を学ぶようになった。浄土真宗寺院で生まれた石川氏から手話通訳などと寺院を絡めた活動をしてみたいとの要望を受け、通訳付きの法話を始めた。

コロナ禍のさなか、法要に檀信徒らが参列できない代わりに、同寺で毎年営んでいる夏の万灯会送盆と秋の施餓鬼の様子を動画で配信、公開した。21年7月15日の万灯会送盆法要では、石川氏が青龍寺住職の横で手話通訳をし、動画には字幕も付けた。21、22年は手話と字幕付きの動画、23年は例年通り参拝者を迎えて法要を営み、動画は字幕だけにした。

難しい仏教用語が含まれる法話は、手話をする側も受け取る側も事前の情報把握や字幕がなければ、その場で理解するのは困難だ。法話に限らず、通訳は元の言葉の前提になる背景も考慮しなければならない。石川氏は青龍寺住職と相談し、法話の内容を変更してもらったり、動画中に写真やイラストを使用したりするなど工夫を凝らした。

石川氏は「聞こえない方にとっては、お坊さんがこういう話をしていたのかと知る大きな機会になった。知ることで初めて法話を聞きたい、聞きたくないという選択肢ができた」と語る。

とはいえ、まだ耳が聞こえない人たちの反応は寺院には届いていない。青龍寺住職は「まずは檀信徒が手話に触れ、耳が聞こえない人に対する理解を深めることにつながるだけでもありがたい。関心を持ってもらうのがファーストステップ」と話す。

今後も動画を公開するかは未定だが「やり方を変えるかもしれないが、耳の聞こえない人たちに届くよう、地道に続けていきたい」と語った。

(甲田貴之)

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