PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
第21回涙骨賞募集 墨跡つき仏像カレンダー2025

近隣で托鉢行脚40年 僧侶としての覚悟固まる

愛知県津島市 浄土宗西山禅林寺派宝泉寺 伊藤信道住職

愛知県津島市・浄土宗西山禅林寺派宝泉寺の伊藤信道住職(68)は、4年前に心臓を患ったのを機にやむなく中止するまで40年余りにわたって津島市内で托鉢を行じた経験を持つ。

托鉢を始めたのは25歳。当時所属していた禅林寺派東国青年会で托鉢をすることになり、その実践者だった岐阜県羽島市・光照寺住職の森準玄氏(後に禅林寺派管長・総本山禅林寺第87世)に指導を仰いだことがきっかけで、翌年から一人で行じるようになった。

托鉢は毎年12月初旬から翌年2月初旬までの時期に毎日(住職就任後は土日以外の平日)、早朝6時半~8時頃に実施。行脚するのは近隣の約800軒で、日によってコースを変えながら1日に200軒ほどを巡った。

各戸の玄関先で四誓偈の一節を唱え、もらった布施は慈善事業などに全て寄付。結果的に檀家以外の人とも親しくなり、自身や寺に対する地域の信頼が高まった。「おっさん(お坊さん)が頑張るから私も頑張る」「手を握ってほしい」と言う人もいたという。

無論、よいことばかりではない。「帰れ!」と怒鳴られたり、番犬をけしかけられたりしたこともある。「自分たち僧侶は世間からそういう存在と思われているのか。最初はお釈迦様も行っていた托鉢に誇りや自信もあったが、そうではないと分かった」と振り返り「大げさに言えば、そうした中で僧侶としての覚悟ができた」という。

森氏は「お金をもらえるお坊さんになれ」と説いた。その意味を「布施をもらえることがどんなにありがたいか」と受け止めている。「法事や葬儀の場合は『そのお礼をもらう』という感じがあるが、托鉢への布施はただ私がやっている行に対するもので、『お坊さんに何かをしてほしい』というものではない。布施をもらうとは何かを考えさせられた」と語る。

托鉢のほかにアーユス仏教国際協力ネットワーク(東京都江東区)や「おてらおやつクラブ」の活動への参画、CO₂排出係数ゼロの電力使用などにも積極的に取り組んできたが「社会と関わろうと思っているのではなく、ただお念仏を自分の身体で表しているというのが最近の感覚」。

浄土宗の教えは凡夫の自覚を促す。「老いや病など思い通りにならない現実が増える一方の50代後半くらいからその自覚が深まり、お念仏のありがたさが身に染みてくるようになった。先の短い自分のいのちで、どうやって皆さんにお返ししていくか」と考える日々を送っている。

(池田圭)

酉の市の始まりに当たって本堂前で加持する井桁住職(中央奥)

寺発祥「酉の市」を護持 夏祭り始め地元活性化

11月22日

「浅草酉の市」の発祥の寺として知られる法華宗本門流長國寺(酉の寺)=東京都台東区=の井桁榮秀住職(38)は「400年間続く伝統行事の火を消さないように」と、祭りの継承に取…

絵解きをする麻子夫人(方丈堂出版提供)

初代が始めた絵解き復活 女人の信仰の灯、次代へ

11月8日

愛知県稲沢市にある善光寺東海別院は、所在の地名から祖父江善光寺と親しまれている単立寺院。林和伸住職と麻子夫人は、同寺の開創を資金面で支えた「善光寺如来絵解き」布教を復活さ…

地域住民の世代間交流の場となっている門前市

門前市で世代間交流 檀家が誇り感じる寺に

11月1日

千葉県柏市の曹洞宗長全寺は檀信徒だけでなく広く地域社会に開かれた寺院だ。隔月開催の門前市では、境内に地元産の野菜や特産品などを販売する店が並び、子どもからお年寄りまで多く…

ガザ停戦決議 問われる米国の姿勢(11月27日付)

社説11月29日

SNSと選挙 時代の大きな変化を象徴(11月22日付)

社説11月27日

勤労感謝の日 仏教における労働の意義(11月20日付)

社説11月22日
このエントリーをはてなブックマークに追加