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荒れた近江商人宅復興 15年かけ改修、博物館に

滋賀県近江八幡市 天台宗教林坊 廣部光信住職

「ハート形の猪目の窓は写真スポットとして人気」と話す廣部住職 「ハート形の猪目の窓は写真スポットとして人気」と話す廣部住職

天台宗教林坊(滋賀県近江八幡市)の廣部光信住職(53)が、約40年間空き家だった近江商人・松居久右衛門の旧宅(1814年築、同県東近江市)を初めて訪れたのは2008年のことだった。足を踏み入れると、天井は落ち、床は抜け、柱はシロアリに食われて折れていた。荒廃ぶりにもかかわらず、廣部住職の目には建物の外観が「光り輝いて見えた」。再生された後の姿が目に浮かんだからという。

取り壊して公園やアパートにする話もあったというが「そのままの形で残したい」という松居家の意向もあった。廣部住職は「自分に与えられた使命」と捉え、旧宅を譲り受けて15年かけて改修した。

自ら屋根に上って瓦を下ろし、防水シートを掛けた。落ちた天井はつり直し、柱をジャッキアップして持ち上げて補強した。新建材はできるだけ使わず、文化財的な修復を心掛けた。

21年に建物が国登録有形文化財、庭園が国登録記念物となり、昨年4月に聖徳太子1400年御遠忌の慶讃を兼ねて「マーチャントミュージアム教林坊別院」としてオープンさせた。猪目(ハート形)の窓が人気で、久邇宮邦彦王ら皇族の宿泊(1924年)に合わせて整備された御座所や国産最古の水洗便器、万両庫と呼ばれる隠し金庫、彦根城槻御殿にあった櫓時計などを見ることができる。

関西大文学部でドイツ文学を学び、証券会社への就職が内定したが、将来は実家の光善寺(同市)を継ぐことができるよう叡山学院に入り、比叡山行院を経て僧侶となった。

「人生をお坊さんとして歩んでいくんだな」と腹をくくった時、その決意の気持ちを形にしたいと考えた。ちょうど、地元の教林坊に住職がおらず荒れ寺になっていたことから「復興したい」と思い、大津市の天台宗務庁に8年勤めながら庫裏を修復し、2003年に退職してすぐ、1年かけて境内を整備して04年春からの公開にこぎ着けた。この経験が今回の修復に役に立った。

廣部住職は「教林坊も別院も雰囲気がよく、心を落ち着かせて自分を見つめる場所にふさわしい」とした上で「境内全体が『空間説法』。その場に来ただけで仏の教えに触れることができるような、庭屋一如となった空間を目指している」と強調する。

別院では今後、香道の会や演奏会などを企画しているという。

(須藤久貴)

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