互助で看取りの共同体 亡き医師の志に沿い実践
兵庫県川西市・曹洞宗岡本寺 平田信活住職
13年前から「完成期医療福祉」の一つの形として「二十五三昧会」と名付けた互助活動を自坊で実践している。きっかけは医師の故神代尚芳氏の最期の願いだった。
二十五三昧会とは約千年前の比叡山延暦寺(大津市)で25人の僧侶が結成した「念仏結社」のこと。結社の誰かが死期を迎えると、念仏を称える人と看取る人が駆け付け、極楽往生を見届ける看取りの共同体だ。神代氏の願いとは、現代において信頼できる仲間同士で介護し、看取ることができるような共同体の存在だった。
神代氏は200人以上の末期がん患者を看取った内科医で、僧侶になったばかりの頃にその講演を聴いた。早くから超高齢化社会の到来を見据え、当時から在宅での看取りを行っていた神代氏は近い将来、人手不足が進み、医療や介護の分野で公的なサービスが受けられなくなる「難民」が増えることを予見していた。そして四苦の「生老病死」のうち死を人生の完成期と捉える「完成期医療福祉」の必要性を呼びかけていた。
在学中にはヤングケアラーだった友人をサポートし、卒業後は養護教諭を務めた。神代氏の考えに大きな感銘を受けて以降、勉強会などに参加し神代氏と交流を深めていった。
かねて「岡本寺で二十五三昧会をつくれ」と訴えていた神代氏は2012年5月、がんを発症した。末期の肺がんだった。「やるしかない」と思った。
13年5月4日に開いた1回目の集いには神代氏の出席はかなわなかったが、ビデオメッセージで開催を喜んでくれた。以来、毎月1回のペースで集まる。
参加者が互いに看取り合えるような信頼関係の構築を目指し、福祉や介護、医療など、暮らしに関わる様々な問題や完成期に必要な課題をテーマにした勉強会、交流会を催している。
高度成長期以降、川西一帯は阪神間のベッドタウンとなった。人口の急増に伴って地域の墓地不足も顕著化し、先代住職が霊園開発と併せて境内地を整備し寺観を整えた。同宗大雄山最乗寺(神奈川県南足柄市)の余語翠巖住職(1912~96)直伝の坐禅会を91年から続けている他、歌や体操、昼食を楽しむ週3回の「コミュ・カフェ」も盛況だ。年齢や性別を問わず、寺をみんなの居場所にする活動が続いている。
(伊賀明)









