ライブペイントで教化 悩む人に仏様「処方」も
愛知県津島市・真言宗智山派観音寺 長谷川優副住職
法務の傍ら、絵師として寺院などでライブペインティングを披露する。書道パフォーマンス用の紙を数枚貼り合わせ、背丈を超える大きな作品を短時間で描き上げる。10月は真言宗智山派因幡堂平等寺(京都市下京区)で薬師如来像、日本聖公会川口基督教会(大阪市西区)で観音像を描いた。
自坊では御朱印帳の見開き数ページにわたって描く「直書き会」を開く。足を運んでくれた人が抱える悩みを聞きながら、状況に合わせた仏様を処方するように描く。「自分の絵が自分の手を離れた存在になった時に喜びを感じる」
昔から漫画や絵が好きで楽しみながら描いていた。愛読書はギャグ漫画の『ボボボーボ・ボーボボ』。18歳まで仏教とは無縁の生活を送っていたが、様々な縁が重なり僧侶になった。僧侶にならない人生もあったかもしれないが、自分自身も悩みが多かったため教えに救われたと感じる。
智山専修学院での修行中に大阪芸術大を目指し、修行を終えた2011年に同大キャラクター造形学科に進学、大学在学中は漫画制作に没頭した。漫画家のアシスタントとして約2年働き、背景の建物や風景を描いた。徹夜は当たり前の過酷な現場で作画の技術を身に付けた。
作品制作を続けていた21年に、自身の作品が智山教化センターの教化目標啓発ポスターに採用され、全寺院に配布された。それを機に、現在は宗派が年4回発行している教化冊子『生きる力』で修行中の学院生らの毎日をコミカルに描く「智積院の修行生活」を連載している。最新号では専修学院生が、中興の祖・覚鑁の御廟を擁する新義真言宗総本山根來寺(和歌山県岩出市)で行う繞堂行の一こまを描いた。自身の経験に着想を得たが、登場人物などはフィクションだ。
作品制作では机に向かうことも多いが、体を動かすことも好きだ。大峰山に登拝した時には自分の体が一番身近な自然なのだと実感し、弘法大師の言葉「仏法遥かにあらず、心中にして即ち近し」を思い出した。
宗祖は、悩むより行動する人物ではなかったかと想像する。車に画材を載せて各地に出向いて絵を描くことが、自分にできる教化活動。「ライブペイントが仏教に出合うきっかけになればうれしい」と話す。
(磯部五月)






