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写仏講座続けて約45年 仏様と楽しい対話を

東京都荒川区・真言宗豊山派華蔵院 木下榮弘住職

講座のお題を解説する木下住職 講座のお題を解説する木下住職

元々、絵を描くのは得意だった。かつて青年会の講座で写仏をした際「あ、自分でも描けるんだ」と気付いて以来数十年、豊山派仏教青年会による写仏講座を中心に、写仏に関わり続けている。

写仏講座は弘法大師1150年遠忌記念事業の一環で、1980年頃から始まった。当初は仏画家の難波淳郎氏と共に講師を務めていたが、難波氏没後の93年頃から一人で講座を受け持つようになった。それから約30年、檀信徒に写仏の手ほどきを続けている。

講座は現在、東京都文京区の宗務所内で月に1度開く。緩やかな増減を繰り返しながら毎度一定数が受講し、自身の制作した手本を基に写仏に励んでいる。「細かくし過ぎても駄目だし大まかでもいけない。シンプルでかつその仏様の大事な特徴を押さえなければならないので、毎回お手本作りには苦労する」と苦笑する。

もろもろの菩薩や如来を頭に思い浮かべることは容易だが、その姿形を細部まで説明するには理解していなければ難しい。「お大師様も『図画を仮りて悟らざるに開示す』と言っておられるが、実際に自分で描いてみると仏様のことがよく理解できる」として、写仏を勧める。仏の図像を描くと、細部をはっきりと知ることができ、仏像を拝観する視点なども多角的になって良いと話す。

また写仏は仏と対話する一番の近道だという。長年様々な人に教えてきたが、その間には不思議なこともあった。「仏様を描いている間は病気の苦しみがすっと消えると言う人もいた。自分の体の悪い所が仏画にも表れて病気を早期発見できた人もいた」

自身も一時スランプに陥り、線の一本も引けなかったことがあったが「その時は仏様が『今はやめておけ』とおっしゃって描かせなかったのだと思う」。しばらくするとまた描けるようになったという。

「仏様への願いは一方通行に感じるかもしれないが、実は応えてくださっている。写仏を通して、知らないうちにいろいろなことを教えてくださっている」と語る。

何よりも大切にしていることは、仏様と楽しく対話してもらうこと。「楽しんで描いてもらえるのが一番。そうすると仏様も喜ぶと思う」。そう語りながら、受講者らを静かに見守っていた。

(西尾晃)

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