平和の声高め、実現の力に
真言宗泉涌寺派総本山泉涌寺 小林暢善長老(74)
9月10日に第155世長老に就任。「皇室の菩提寺である御寺として、皇室安寧、鎮護国家を第一に、平和共存、万民豊楽を祈る。そのために戒律を基本に、釈尊の原点に返って仏教の教えの興隆に努めたい」
自坊は広島県尾道市の浄土寺。父は1991~96年に長老だった海暢氏で、親子で長老を務めるのは、開山以来800年の歴史で初めてとみられる。
父から、出征した戦時中の話を繰り返し聞かされたこともあり、平和への思いは強い。中国観音霊場会の会長時代、広島平和記念公園の平和の灯が札所寺院をリレー形式で巡ったり、檀信徒らが折った折り鶴約3万羽を同公園に奉納したりする取り組みも行った。
「十善戒の第一は不殺生戒。ことあるごとに平和共存の大切さを伝えたい。平和への声を高めて、平和実現への力となるようにしていかないといけない」
慶応義塾大の学生時代、サークル・仏教青年会で酒井得元老師から卒業後の進路を聞かれて返答に窮したところをすかさず「早く落ち着け」と一喝され、僧侶の道を決心。ゼミの担当教官で、宗教者でもあった宮家準氏から「あまり気負いなさんな」と励まされたことも大きな力となった。
浄土寺では父による昭和の大修理に続き、平成の大修理に取り組んだ。檀家寺ではないが、文化財保護への協力を惜しまない地元の人々に支えられたという。
今年5月の泉涌寺開山俊芿律師800年御遠忌大法会を御遠忌局長として支えた。来年秋には東京国立博物館で泉涌寺展も予定する。「御寺泉涌寺を多くの人に知っていただく機会にしたい」
(岩本浩太郎)




