各地で植樹活動に取り組む「森の設計士」 西野文貴氏(38)
その土地の植生を調査し、環境に適した樹種を選んで森の設計図を作り、苗木の納入・植樹の指導まで、森づくりをプランニングしている。目指す理想は「鎮守の森」。植樹活動は宗教や国籍などの壁を超え、人類に調和をもたらす具体的なアクションになり得ると訴える。
佐藤慎太郎
森づくりに取り組むようになったきっかけは。
西野 私は「自然循環する森が全国に必要」と考えた父が、苗木生産のために40年ほど前に起業した会社の2代目です。
幼い頃に参加した植樹祭で、父から「今植えた木は300年ぐらい生きるんだよ」と教わった時、子どもながらに目の前にあるものの命の重さや、その長い時間軸について考えさせられました。そうした意味でも子どもたちへの環境教育の実体験として、植樹活動への参加は大事ではないかと思っています。
その後、大学で林学博士を取得し、ヨルダンやインド、中国、フランスなどでも森林再生の監修を行ってきました。
どのような活動が中心となるのですか。
西野 自分の職業として「森の設計士」を掲げて活動しています。森の設計は、実はそこにすむ生物を含めた自然、すなわち生態系の設計とも同義です。
そのため神社やお寺の鎮守の森のような、将来的にメンテナンスが不要で自然に循環する天然林を目指しています。横浜国立大の名誉教授だった故宮脇昭先生のメソッドである密植・混植をベースとしつつ、そこにあえてパイオニア植物を加えることで、自然な間伐と更新が起きる仕組みを導入していることが一つの特徴ですね。
私は経済と生態系の両立は可能だとも考えています。世界的な潮流として、企業にとって「ネイチャーポジティブ(自然再興)」が重要な経営課題と捉えられるようになりました。企業による環境負荷を軽減し、生物多様性や炭素貯留量を可視化する長期的な森づくりプロジェクトも提案しています。
また移転を余儀なくされた岩手県紫波町の志賀理和氣神社での「鎮守の杜」再建プロジェクトにも携わりました。3期に分けたクラウドファンディングは毎回達成できた上、地域住民らと共に行った植樹祭に関西などの遠方から参加される方もいました。宗教に対する潜在的な興味関心の高さを感じましたね。
11月に開かれるアジア宗教者平和会議(ACRP)シンガポール大会に登壇されるそうですね。
西野 宗教や政治、国籍、性別などの違いは、森づくりには全く関係ありません。…
つづきは2026年10月14日号をご覧ください





