PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第23回「涙骨賞」を募集

寺院存続の危機 信仰の継承こそ喫緊の課題(11月4日付)

2026年11月6日 09時16分

近い将来、寺や神社の数が激減するというイメージは半ば常識化している。最近も日本経済新聞(オンライン)が2040年には18万ある宗教法人の3分の1が「存続危機」とする石井研士・國學院大名誉教授の試算を紹介していたが、見た人もいるだろう。

存続の「危機」の感覚でいえば、経済的理由でそれにうなずく宗教者も多いはずだ。檀家離れ、深刻な過疎化がその背景にある。

歴史を遡れば戦乱や政治的弾圧などで地域的に寺が破壊されることはあっても、人々の信心によって復興を繰り返してきた。しかし、後継者確保の困難化は、再興・再生の希望を許すかどうか。

後継者難の根底には信仰の継承という根本的問題が存在する。宗派によって多少事情は異なるだろうが、寺で家庭生活が営まれ、寺が内部から世俗化することで、学徒の教育は難しくなった。世間一般の家庭で宗教が重要性を失い、親から子へと信仰の継承が行われることがまれになるのと並行して、寺の家庭でも宗教を中心とした生活が薄れ、宗教的教育が「押し付け」として敬遠される感覚さえ一部で生まれてきた。

禅宗などでは、本格的な修行に入る前の「雛僧」教育をどこで行うかが問題になっている。信仰の実践に入る道心を育む足場がないのだ。経済的問題とは別に、教団を支える人材が枯れてゆくのを防ぐ対策が緊急に必要である。

信仰の継承の危機は日本の仏教だけではない。最近バチカンの教理省が作成した「時代を画する変化における信仰の伝承に関する考察」という文書は、「家庭内での信仰の伝承の崩壊」を重視する。

「つい最近まで、家族は信仰が世代から世代へと受け継がれる主要な場であった」が、いまや「世界の多くの地域で家族内での信仰の伝承が途絶えている」。それが「現代の特徴の一つ」だという。

教理省はこの傾向の根底にあるものを「自己主権」の賛美、ますます顕著になる個人主義の広がりであるとし「長きにわたる世俗化の過程の最も明白な影響の一つ」と論じている。

「過激な個人主義」「自己崇拝」といった批判にはさすがに異論があるかもしれないが、家庭内での信仰継承の危機に関する分析としてはその通りだろう。

いずれにせよ、宗教界は「家庭」内での宗教的教育あるいは薫育の困難さに直面している。檀信徒教化とともに、寺の学徒教育の課題でもあるだろう。寺が経済的に立ちゆかなくなる前に、ふさわしい後継人材が枯渇しないよう、寺の家庭内での宗教的養育、それが不可能ならそれに代わる教育の一層の充実が求められる。

核のゴミ最終処分場 未来の子孫の安全を(10月30日付)11月4日

原発の使用済み核燃料を最終処分するフィンランドの「オンカロ」に同国政府から操業許可が出た。地下400㍍、延長5㌔㍍の坑道から掘った竪穴の土中深くに最大6500㌧もの核のゴ…

AI僧の登場 学び合えるのは人間同士(10月28日付)10月30日

ロボットにAI(人工知能)を搭載したAIロボットが登場した。AIに仏教の知識を詰め込んだロボット僧も試行されている。人間の悩みや苦しみに対して、ロボットがブッダの教えを示…

ICCを守ろう 国際社会の法の支配(10月23日付)10月28日

米国のトランプ大統領は国際刑事裁判所(ICC)を敵視し、2020年以来繰り返し検察官・裁判官への制裁を重ねてきた。26年8月18日には赤根智子所長ら2人を制裁対象にすると…

挙手で採決を行う議会

審査会開催、管長に要望 前内局の金融保険問題 黄檗宗臨宗

ニュース11月5日
鳥井奉賛会長㊨に表札を手渡す加藤宮司

遷宮へ奉賛会発足 住吉大社

ニュース11月5日

法然門流研究の課題 若手研究者らが議論 龍谷大世界仏教研究センター

ニュース11月5日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加