ICCを守ろう 国際社会の法の支配(10月23日付)
米国のトランプ大統領は国際刑事裁判所(ICC)を敵視し、2020年以来繰り返し検察官・裁判官への制裁を重ねてきた。26年8月18日には赤根智子所長ら2人を制裁対象にすると、9月22日の国連総会においてICCの加盟国に脱退を呼びかけ、10月9日には、ICC組織本体への制裁を発動させた。
23年3月、ICCはロシアのウクライナ侵攻を巡り、戦争犯罪の疑いでプーチン氏の逮捕状を発付した。これに対し、ロシア当局は「無実の人物(プーチン氏)に刑事責任を負わせた」ことが犯罪行為に当たると主張し、報復措置として赤根氏らを指名手配している。
ICCは23年10月のガザ戦争以降は、ガザ攻撃を続けるイスラエルの首相らに対し戦争犯罪および人道に対する犯罪を認定してきた。今年に入ってからのトランプ大統領のICCに対する攻撃は、ロシアのICC攻撃とも歩調を合わせたものだが、制裁措置によってICCの活動の継続を脅かすもので格段に影響が大きい。
こうしたトランプ大統領によるICC攻撃に対して、カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、英国と日本の計8カ国の外相は10月10日、ICCの独立性や公平性への支持を表明し、米国による制裁について「遺憾に思い、強く反対する」と訴える共同声明を出している。そこでは、ICCやそのスタッフらについて「最も深刻な国際犯罪で訴追された者を裁きにかけ、被害者を支援するために日々尽力している」と言及し「引き続き協力し合い、裁判所の重要な活動を支援し、ルールに基づく国際秩序を守り、責任追及を推進していく」と述べている。今年のノーベル平和賞がICCの元判事である、ナヴァネセム・ピレイ氏に授与されることになったのも心強い。
ICCは国連の組織ではないけれど、協力関係がある。第2次世界大戦後、早い時期に国連が設立され、以来、法に基づく平和な国際社会に向かう努力が進められてきた。ICCの設立もそれに連なるものだ。現在のICC加盟国は125カ国であり、予算は国連の分担金の比率に準じて負担している。日本政府は07年に加盟してから、任期9年再任なしの裁判官を一貫して送り出しており、国連分担金が第3位であって財政的にも最大の貢献をしてきた。
米国による制裁でICCの活動が困難になるような事態はぜひとも避けなければならない。平和な世界を目指し、ICCを守るために、日本の市民や諸団体からの声をいっそう強めていきたいものだ。






