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サードエイジャーの居場所 大人も寺子屋で学びたい

北海道大大学院教授 櫻井義秀氏

時事評論2026年10月28日 09時12分

10月10日に札幌市の日蓮宗瑞玄寺において「大人の寺子屋」が開催された。私は、2025年から札幌の瑞玄寺において伊藤美妙住職、小松靖孝・北海道西部宗務所長、高橋俊隆・北海道西部教化センター長と一緒に講師を務めている。

「大人の寺子屋」は、朝10時の開講式、1時間の仏教の入門講義(小松・高橋)、30分の瞑想体験(伊藤)、昼食、午後1時間の写経(小松・高橋)、1時間の宗教よもやま講義(櫻井)、グループ懇談(講師・スタッフ僧侶)と呈茶(櫻井)で午後4時に終える1日がかりの仏教講座である。日蓮宗の檀信徒と一般の参加者が半々、毎回30人前後を数える。

私が23年に信行道場を成満後、師僧の寺が新潟県の妙光寺なので札幌で出仕できる寺院を探していたところ、伊藤住職が声を掛けてくれた。

伊藤住職は、北海道家庭生活総合カウンセリングセンターの活動を通して、こころのおさめ方に悩む人が多いことに気づき、苦しみから逃れ、幸せになるための智慧として仏教を学ぶ場所を作りたいと考えていた。

私自身が林住期の生き方として仏教を学ぼうと決意し、60歳得度、62歳で日蓮宗の教師となったので、サードエイジャー(60代後半から70代の人生の円熟期を生きる世代)の知的欲求に応えたいと思った。

第二の人生は、家住期のように稼げる仕事ではなく、人の役に立つ仕事をやって人生の最終段階(遊行期)を迎えたいという人が少なくないことを生活実感としても、調査研究からも分かっていたのである。

人が青年期に人生に迷うように、第二の人生を始める前に再びこれで良かったのか、これから自分の人生をどうするのかと自問する人が少なくない。特に、勤め人として生きてきた男性は定年後に「役割がない」現実に煩悶する。

趣味や娯楽は仕事があるからこそ楽しい息抜きなのであって、一日中やって面白いわけがない。その点で女性は勤め人であっても主婦であっても家事をやってきた分生活力があり、迷いは少ない。自営業や農林漁業に従事する人、職人の人たちは人生と仕事が不可分である。

瑞玄寺は札幌駅から歩いて10分の都市型寺院であり、大人の寺子屋は都市のサードエイジャーのニーズに応える第三の居場所(家庭でも職場でもなく、安心して見知らぬ人と時間を共有できる場)になっている。宗派色を出さず布教もしない。

一緒に学ぶ人たちがいることに気づき、安心して語り合ってもらう。冥想や写経でその時々の感情に流されている自分をおさめていく。

お寺や仏教について、菩提寺の住職に聞けないようなことでも遠慮なく質問してもらう。昼食と呈茶(裏千家専任講師の私の点て出しの抹茶とお寺にあがったお菓子)込みで2千円の受講料で1日過ごしてもらう。僧侶・スタッフが手弁当で運営しているからできることでもある。

大人も寺子屋で学びたい。寺院仏教には縁を結びたい人たちがいることに気づいてほしい。

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長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
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