メメント・モリ
〈コラム〉風鐸2026年10月28日 15時51分
長く記者をしていると、かつて取材などでお世話になった人物の訃報に接することも増えてくる。最近姿を見かけない、入院したらしい、などの前兆があればまだしも、まだまだ元気だと思っていた方が急逝することも珍しくない◆「メメント・モリ(死を想え)」という有名なラテン語の成句がある。西洋世界では芸術などのモチーフとしてもしばしば登場し、日本語の「諸行無常」や「盛者必衰」とも響き合うような言葉だ◆小学生くらいの頃だったか、家族も寝静まった夜半、ふと目が覚めるとなぜか急に死ぬことが恐ろしくなり、一人枕をぬらしたことがある。その衝撃をしばらく引きずってしまい、素知らぬ顔で平然と暮らしている大人たちが怖くてたまらなかったものだ◆人は誰しも、自らの「死」といういつか迎える現実を受け止めた上で、前を向いて歩んでゆかなければならない。訃報とともに亡き人の顔を浮かべる、そして自らの死について改めて立ち止まって考える、そうした時間がいつの世でも必要とされているのではないだろうか。(佐藤慎太郎)







