第21回「涙骨賞」受賞論文 奨励賞
京都学派における天皇論の系譜
―転換期の克服と『媒介者』としての天皇―
岩井洋子氏
註
- 媒介者M=絶対無であるが、絶対無は相対的有の対立を媒介する原理であるが、それ自体は無であり、非実体的なものである。
- 上田閑照「西田幾多郎――『あの戦争』と『日本文化の問題』」(西田幾多郎没後50年<特集>)「思想」(857)、平成7(1995)年11月号。ここで上田は『日本文化の問題』は「当時の状況の現在のなかでは大胆な批判の遂行である」(同前、116頁)と述べている。
- 藤田は「意味の争奪戦」について次のように説明している。西田が「皇室」、「皇道」を取り上げる場合、「かくかくの意味においてでなければならない」(藤田正勝『西田幾多郎――生きることと哲学』岩波新書(1066)、平成19(2007)年、174頁)という仕方で論を展開しており、「その意味をそのまま前提にするのではなく、そこに自分の立場から積極的に意味内容を付与しようとしていた」(同前、173―174頁)。
- 田中久文「『創造』論としての日本文化論――西田幾多郎『日本文化の問題』について」『理想』(681)理想社、平成20(2008)年、52頁。
- 西田幾多郎『西田幾多郎全集』全19巻、安倍能成ほか編、岩波書店、昭和53(1978)―昭和55(1980)、以下、ここからの引用は(N巻数・頁数)を文中に埋め込む。(凡例)ここでの(N12・336)とは、西田幾多郎全集、第12巻336頁を意味する。
- 山田坂仁「西田哲学と天皇制――あわせて田辺元氏の天皇制護持の哲学を評す」『現代観念論批判』ナウカ社、昭和23(1948)年、108頁。
- 佐藤丑次郎『帝国憲法講義』、有斐閣、昭和6(1931)年、49頁。
- 西田幾多郎 エッセンシャル・ニシダ 即の巻『西田幾多郎キーワード論集』書肆心水、平成19(2007)年、238頁。「序」『哲学の根本問題 続編』岩波全書(33)、昭和23(1948)年。
- 河合隼雄はこれを「中心統合構造」に対する「中空均衡構造」としている。河合隼雄、河合俊雄編『神話と日本人の心』〈物語と日本人の心〉コレクションⅢ、岩波現代文庫(346)、岩波書店、平成28(2016)年、331頁。
- 同前、329頁。
- 同前、336頁。
- 中沢新一「解説――日本神話に見る三元論的思考」注(9)参照、367頁。
- 高山岩男「歴史の推進力と道義的生命力」『中央公論』(662)昭和17(1942)年、41頁。
- 同前、34頁。
- 同前、35頁。
- 同前、33頁。
- 同前、42頁。
- 同前、37頁。
- 同前、43頁。
- 高山岩男「政体の傑作と駄作」『続政治家への書簡』創文社、昭和59(1984)年、128頁。(初出は『辛亥煩言』「日本法学・政経研究 別冊」、日本大学法学会、昭和46(1971)年。
- 同前、126頁。
- 同前、127頁。
- 同前、126頁。
- 同前、128頁。
- 林直道『西田哲学批判』解放社、昭和23(1948)年、215頁。
- 同前、182頁。
- 甘粕石介「(解説)林直道のこと」、注(25)参照、2頁。
- 田辺元『田辺元全集』筑摩書房、昭和38(1963)年―昭和39(1964)年、筑摩書房。ここからの引用は(T巻数・頁数)を文中に埋め込む。(凡例)ここにおける(T8・190)とは田辺元全集、第8巻の190頁のことである。
- 合田正人『田辺元とハイデガー――封印された哲学』PHP新書(884)、平成25(2013)年、206頁。
- 尾高朝雄『国民主権と天皇制』講談社学術文庫(2557)、令和元(2019)年、142頁。初出は、尾高朝雄『国民主権と天皇制』国立書院、昭和22(1947)年。
- 同前、141頁。傍点筆者。
- 同前、154頁。
- 同前、151頁。
- 同前、184頁。
- 同前、226頁、初出は、尾高朝雄「事実としての主権と当為としての主権」『国家学会雑誌』64(4)、昭和25(1950)年。
- 同前、227頁。
- 同前、203頁。初出は「ノモスの主権について」『国家学会雑誌』62(11)719,昭和23(1948)年。
- 尾高朝雄『法の窮極に在るもの[新版]』有斐閣、昭和30(1955)年、225頁。初出は、『法の窮極に在るもの』(「法学選書」第一篇)、有斐閣、昭和21(1946)年。
- 同前、209頁。
- 尾高朝雄『国家構造論』(京城帝国大学法学会叢刊:第3)岩波書店、昭和11(1936)年、420頁。
- 尾高朝雄、前掲書、令和元(2019)年、67頁。
- 尾高朝雄、前掲書、昭和11(1936)年、532頁。