創学研究Ⅱ 日蓮大聖人論…創学研究所編

2019年に設立された創学研究所による論考集の第2弾。「創学」とは「創価信仰学」の略で、創価学会の信仰を前提とした学問体系の構築を目指すものだ。本書は「日蓮大聖人」をテーマに、研究会の講演録、鼎談、論考などを収録する。同会における「日蓮大聖人直結」の信仰の立場から、近現代の文献学に基づく日蓮論の解釈の在り方など様々な問題を多面的に考察している。
松岡幹夫所長は「日蓮本仏論再考――救済論的考察」で、日蓮本仏論を巡る過去の論争について、信仰実践の立場から考察する「救済論」と史実を踏まえて歴史的人物としての日蓮の姿を探求する「史実論」という二つの異なる視点があることに人々は無自覚だったと指摘。文献学的な「史実論」を踏まえつつ、創価学会の三代会長(牧口常三郎、戸田城聖、池田大作)が実践を通して示した「日蓮大聖人」の真意を、学問的に再定義しようと試みている。
三浦健一研究員による講義をまとめた「創価信仰学とは何か(1)」は、「創価信仰学」と仏教学や神学などの諸学問や従来の創価学会の「教学」とを比較し、その特色や概要を解説している。専門用語を避け、創価学会の信仰を持たない人にも創学研究所が目指すものを明示しようとしている。
定価1980円、第三文明社(電話03・5269・7145)刊。