PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
2024宗教文化講座

病院の閉院・譲渡 宗教系病院の在り方とは(4月19日付)

2024年4月24日 09時40分

3月末、宗教系病院で閉院と事業譲渡の動きがあった。閉院したのは本願寺ビハーラ医療福祉会が運営するあそか花屋町クリニック。同クリニックは2021年6月にあそか診療所から名称変更し、新築移転したばかりだった。一方、事業譲渡がなされたのは立正佼成会が経営母体の佼成病院である。佼成病院は学校法人杏林学園に譲渡されて、杏林大医学部付属杉並病院となった。どちらも経営赤字が続いて宗門や教団本体の財政を圧迫し、病院の安定的運営に困難を来したためである。

だが、宗教系病院だけが経営に苦慮しているわけではない。日本病院会など関連3協会が行った医療機関経営状況調査によれば、そもそも全国の7割以上の病院や診療所が医業利益で赤字であるという。そして大半の病院は、補助金がなければ経常利益でも赤字となると指摘されている。

背景には、保険診療制度そのものが持つ構造的問題があり、診療報酬が抑えられている中で、人件費や最新医療機器の導入等で費用負担がかさんでいる状況がある。宗教系病院でも経営努力を行い、また教団からの回付金なども受けているものの、これがまた教団財政を圧迫する原因になっている。

宗教系病院もまた公共医療機関であるが、他の公立や民間の病院にはない宗教的理念を持ち、ビハーラ僧など独自の病院チャプレンを導入したりしている。これがもっと病院の強みになるはずだ。あそか花屋町クリニックでは、ビハーラの活動拠点として期待されていたが、残念ながら実際にはその活動がなかった。

浄土真宗本願寺派では宗会の席上、クリニック閉院に対して総局の責任を厳しく問う声も上がった。宗派としては検証委員会によって、閉院に至るまでの諸々の運営計画や状況等の検証に当たり、ビハーラ活動が衰退しないように努めるという。また、立正佼成会でも、杏林大付属病院との関係は今後も大切にして応援を続けていくとのことだ。佼成病院の理念は真観(正しくみて正しく手当てする)というものだった。この理念は、そのまま一般的にも医療者の診療姿勢そのものに通じるはずである。

病院や学校、福祉施設などの大きな事業は、教団単位でないと展開できないところがある。その事業の原資となるのは信徒が寄託した浄財である。最もコストがかかるのは病院の経営であろう。教団や宗門側では、そうした公益性の高い事業への理解と協力を、信徒に対して今後とも一層強く訴えることが求められる。

共助への行動 地域社会と手を携える寺院(4月26日付)5月1日

災害時に自治体や関係団体と仏教者が連携して支援活動を展開する動きが広がりつつある。京都府の亀岡市仏教会は3月、災害時に協力体制を敷く協定を同市社会福祉協議会と結んだ。同仏…

長期化するガザ侵攻 宗教と平和が問われている(4月24日付)4月26日

パレスチナでの戦闘が半年を超え多くの人命が失われ、ガザ地区の生活基盤は壊滅的な打撃を受けているが、なお戦闘は終結していない。イスラエルは、ハマスを壊滅させるための戦いであ…

アカデミー賞2作品 核問題への深い洞察必要(4月17日付)4月19日

米アカデミー賞で作品賞などを受けた「オッペンハイマー」と日本の「ゴジラ―1.0」がロングラン上映を続ける。くしくも両作品とも核兵器に関連する内容だが、それぞれ戦争と平和に…

信仰背景の虐待47件 こども家庭庁、児相など調査公表 宗教2世ネットワーク 問題解決へ具体策必要

ニュース5月2日
「受け継がれてきた精神を次代に伝えられるよう活動に取り組んでいく」と式辞で述べる大鳥居会長

本質見極め次代に継承 神青協、75周年大会で決意

ニュース5月2日
總持寺祖院復興支援金の目録を贈呈する野口善敬・妙心寺派宗務総長㊧と石附周行・總持寺貫首

【能登半島地震・被災地支える思い】「祖院復興支援金」届ける 妙心寺派宗務総長、700回大遠忌に合わせ 合同研修会3カ月後に被害

ニュース5月2日
このエントリーをはてなブックマークに追加