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第3回日・韓・中 国際仏教学術大会 ― 東アジア仏教の対立・論争と意義をテーマに(2/2ページ)

創価大教授 菅野博史氏

論2014年7月23日

慧苑は頓教を排除し、五教のなかの大乗終教と円教とを統合して真具分満教にし、これを四宗判の如来蔵縁起宗と同定した。このような改変によって、如来蔵思想と『華厳経』との差異が曖昧となり、法蔵が意図した『華厳経』の至上性を損なう結果となった。澄観はこの点を捉えて「円実不分」とし、慧苑を「背師異流」と厳しく批判したのである。

張氏は、このような視点に基づいて、慧苑は法蔵の華厳思想を正しく継承しておらず、澄観の慧苑に対する批判、後に慧苑が華厳宗の祖統説から排除されたことは、思想的立場に基づいた合理的なものであったと評価した。

これに対して、崔氏は、法蔵の教判は早期の五教判から後期の四宗判への変化と捉えることが可能であり、法蔵はインドの智光の三教判(小乗、法相大乗、無相大乗)の影響を受け入れて、四宗判を形成したと推定している。そして、慧苑はこの法蔵における変化をさらに進展させたものと評価した。

崔氏は、澄観に対しては、法蔵の教判の形式的な側面だけを取りあげ、その真意を把握することができなかったと批判し、澄観は実際には慧苑の教判論から影響を受けながら、かつ禅に感化された上、先学の華厳教学研究について「一生駆駆として但だ他の宝を数うるのみ」と揶揄していることを考慮すると、澄観こそ華厳教学における「背師異流」と評価されるべきではないかと提案している。両者の主張を十分に紹介できないが、法蔵、慧苑、澄観の間の対立・論争をめぐって、張氏と崔氏の間に新しい対立・論争が生まれたことは、さらに正確な華厳教学の理解への良い刺激となることを期待したい。

今回はすでに紹介した中国の2氏の論文以外に、八つの論文が発表された。日本からは、吉村誠氏(駒沢大)が法蔵の三性説に見られる唯識思想の再解釈を分析した。松森秀幸氏(創価大)は湛然の『止観義例』において、頓と漸をめぐって批判される「僻者」は澄観のことではなく、天台学派内部のものであると推定した。佐藤厚氏(専修大)は井上円了のキリスト教批判を取りあげた。中村玲太氏は日本の顕意の中国の元照に対する浄土教の批判を考察した。

金剛大からは、韓枝延氏は中国から西域への大乗経典求法が西域における仏教の大乗化に影響を与えた可能性を示唆した。林香奈氏は基の『観弥勒菩薩上生兜率天経賛』に基づいて、阿弥陀信仰と弥勒信仰の対立とその背景を考察した。張圭彦氏は中観と唯識の関係に対する円測の認識を考察した。

中国からは、すでに紹介した2氏以外に、宣方氏が『阿毘曇心論』に対する呂澂と印順の見解の相違を分析した。

なお、来年の6月19、20日、韓国の扶余(百済の都)で『大乗起信論』をテーマとする第4回の会議が開催される予定である。

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