宗教の言い分 現代日本人の死生観を語る…島薗進・一条真也著

東京大名誉教授で宗教学者の島薗進氏と、冠婚葬祭の会社経営者でもある作家・一条真也氏の対談集。宗教研究者、葬送儀礼の執行者という異なった立場から宗教にアプローチしている二人が、それぞれの視点から「現代日本人の死生観」や「宗教の役割」「儀礼の重要性」、さらに「救済」「グリーフケア」「コンパッション」「ウェルビーイング」「利他」「寺院とセレモニーホール」等々について熱く語っている。
二人は30年来の付き合いで、共に上智大グリーフケア研究所で活動し、様々なシンポジウムにパネリストとして同席するほか、グリーフケアに関する共著もある。
対談は2023年11~12月に東京と金沢で2回にわたり行われた。「もしこの世に宗教がなかったら」という問いに始まり、その中で仏教、神道、教派神道、キリスト教、イスラム教、新宗教など様々な宗教の教義や活動、儀礼、救済の在り方、さらに神道と儒教の関係などについても言及。日頃から多くの人が抱いている宗教に対する疑問の解消につながる情報も多く『宗教の言い分』とのタイトルにふさわしい内容となっている。そして二人は、日本の宗教の未来は「グリーフケア」「コンパッション」が重要なキーワードになると強調する。
定価1870円、弘文堂(電話03・3294・4801)刊。