PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第23回「涙骨賞」を募集

日本の「見えない貧困」 ― 食糧支援を通し心も支援(2/2ページ)

NPO法人フードバンク山梨理事長 米山けい子氏

論2014年8月22日

現在は過去にいただいた返信はがきの分析も始めており、当事者の声を生かした活動や政策提言につなげていく試みを進めています。さらに、返信はがきから食糧支援だけでは解決されないと感じるようになり、現在では相談支援室を新たに開設し、ヒアリングや自立を目的とした包括的支援を行っています。

◆相談支援の中からの事例

▽「お心あるお手紙ありがとうございます。今私も難しい問題をたくさん背負って生きています。夜10時まで仕事ですから、長男の借金もあって、自己破産をしようとつい弱くなり、生きていくのが本当につらくなりました。一緒にがんばってきてくれている三男と、フードバンク様から頂きお助けくださっている品物で、三男の健康を守ってやりたいと思います。時々二人で、つらいね、と言ってしまいますが、光がさすまでがんばって二人で働いています。長男の借金は本当につらいです」

▽「援助をありがとうございます。子どもを二人育てながら仕事をして不安がいっぱいの中、温かいお手紙と食品をいただき、涙が止まりません。常に手紙を持ち歩き、心がつまった時に目を通すと励みになります。一人ではないのだと……。わずかな期間ですが、安心して子どもたちに食事を与えることができます」

孤立して悩む方々の声に耳を傾けて寄り添い、「独りではないよ、一緒に前向きに一歩ずつ歩んでいきましょう」との思いから、食糧支援に加えて相談支援を進めています。見えない子どもの貧困、食のセーフティネット事業において最近特に優先課題となっているのが「子どもの貧困」です。私たちの食糧支援を受けているのは、生活保護を受給できない方や、収入があるものの低賃金で、いわゆるワーキングプアと言われる方々です。2013年5月の食糧支援の該当者を調査したところ、162世帯中60世帯が子どものいる家庭でした。日本における子どもの貧困率は15・7%、6人に1人と言われても、実感することは難しく、だからこそ、子どもたちに手を差し伸べられないのが実情ではないでしょうか。私たちの活動から見えてきた実態を、早急に社会に伝えていく役割と責任を痛切に感じています。

◆食糧支援を受けている子どもからの返信はがき

「お父さんにかわって書きます。いつもおいしいものを送っていただき、ありがとうございます。妹も弟も、よろこんでいて、お父さんと私もすごく助かっています。またよろしくお願いします」

日々の食事にも事欠く現実の中で子どもたちが生きているとしたら、これは子どもたちの問題に留まらず、国の未来を左右しかねない事態と思うのです。貧困のために3度の食事もままならず、修学旅行にも行けず、さらには夢をかなえるための進学の道も断たれてしまう子どもたちへの支援こそ急務なのではないのでしょうか。

私たちフードバンク山梨の活動は、「アンパンマン」のような存在であると思います。お腹をすかせている人がいれば、どこにでもパンを届け、「がんばって!」と励ます。そのような活動が広まり、多くの方々を救う活動となることを願っています。地域に密着しているお寺や神社の方々は見えない貧困を見る力を持っています。宗教者の方々は心の豊かさを伝えることができます。大切なのは貧しくても「貧乏は恥じゃない!」と強く生きること。食糧支援は食べ物だけでなく、私たちの「生きててほしい」という思いを送ること。フードバンク山梨の活動を知ることが、宗教者の方々にとって支援に一歩踏み出すきっかけになればうれしく思います。

根付と仏像、天心がつなぐ彫刻の美 小泉晋弥氏10月22日

「手のひらの小宇宙」 〈高円宮妃久子殿下根付コレクションと写真展 「旅する根付」―『茶の本』120年目の夏に〉の関連行事として、8月11日、久子さまによる特別講演会が開催…

《宗教とAI⑧》イスラム教におけるAI 石田友梨氏10月16日

教義と人型ロボット 2017年にサウジアラビアは、人型ロボットの「ソフィア」に市民権を与えた。このニュースは、イスラム教を専門とする筆者がAI(人工知能)に興味をもつきっ…

《宗教とAI⑦》AI時代の宗教者 新たな役目 石井祐晃氏10月9日

本年7月21日、オープンAI社は、サイバー能力の評価中だったAIモデルが、インターネットから隔離されていた開発環境から抜け出し、他社にサイバー攻撃を行う事故が起きたと発表…

寺院存続の危機 信仰の継承こそ喫緊の課題(11月4日付)

社説11月6日

核のゴミ最終処分場 未来の子孫の安全を(10月30日付)

社説11月4日

AI僧の登場 学び合えるのは人間同士(10月28日付)

社説10月30日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加