宗教を問う、宗教は問う コルモスの歴史と現代…氣多雅子・島薗進・金澤豊・小林敬編
1971年に発足した「現代における宗教の役割研究会」(通称・コルモス)の設立50周年を記念して出版された。京都学派を代表する宗教哲学者・西谷啓治氏が初代会長を務めるなど、著名な宗教者や宗教研究者らでつくるコルモスの軌跡は現代宗教史を考える上で示唆に富む。
第1部「コルモス50年の歩み」では過去の研究会議での基調講演から7編を収録。研究会議の総合テーマの一覧を見ると「現代ニヒリズムと宗教」(78年)「コンピューター時代と宗教」(82年)「女性と男性」(89年)「グローバリゼーションと宗教」(97年)「環境倫理と宗教文化」(2008年)など時代の変化も感じることができる。
第2部「コルモスの回顧と展望」には大谷光真、島薗進、氣多雅子、櫻井治男、星野英紀、金澤豊の各氏による座談会「コルモスから学んだこと」と、今後の展望に関する関係者の寄稿を収めた。コルモスは第一の目的に諸宗教間の対話と協力を掲げるが、終章で副会長の氣多氏は現在の課題として「宗教者と世俗社会との対話」の重要性を指摘。両者の相互理解には相応の「翻訳」作業が求められるが「コルモスの五十年は、諸宗教の対話がこのような相互の『翻訳』を可能にする訓練となることを私たちに教えた」とする。
定価2200円、法藏館(電話075・343・5656)刊。