宗教の起源…ジュリアン・リース著、江川純一監修、小藤朋保・溝口大助訳
人類が誕生して以来、その歴史に刻まれてきた儀礼・神話・象徴・信仰のありようを、約400点のカラー図版と共にたどる。宗教史学、文化人類学、自然人類学、考古学などの成果を組み合わせることで、宗教の本質とその多様な「顕れ」の探究を試みている。
本書はホモ・サピエンスだけでなく、ネアンデルタール人、ホモ・エレクトス、さらには200万年前のホモ・ハビリスまで先史時代をさかのぼり、聖なるもの、儀礼や神話、葬送、芸術、呪術、聖所、信仰といった主題を考察している。歴史時代以降は、いわゆる四大文明をはじめ、インド=ヨーロッパ語族の諸民族、ゾロアスター教、一神教の成立などを扱う。その範囲は広範に及ぶが、著者は、人間はいつの時代も「聖なるもの」が存在すると信じる「ホモ・レリギオースス(宗教的なヒト)」であったという認識を立論の柱として、宗教の始まりと展開について論考している。
ほぼ全てのページに収録されている写真も本書の大きな魅力の一つ。洞窟壁画や神殿、神像などの貴重な資料を高画質で掲載している。加えて、写真には宗教史学が興った19世紀以後積み重ねられてきた研究を踏まえた解説が付いており、読者の関心を深める有意義な構成となっている。
定価6160円、国書刊行会(電話03・5970・7421)刊。

