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第22回「涙骨賞」を募集
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ダボス会議に参加して ― 世界の人々が仏教に期待(1/2ページ)

妙心寺退蔵院副住職 松山大耕氏

2014年2月27日
まつやま・だいこう氏=1978年、京都市生まれ。東京大大学院農学生命科学研究科修了、農学修士。妙心寺派平林寺専門道場で3年半修行。2006年、大本山妙心寺塔頭退蔵院副住職に就任。講演活動などで禅文化の紹介に努める。政府観光庁VISIT JAPAN大使(09年~)、京都市「京都観光おもてなし大使」(11年~)。

1月21~25日、全日本仏教会副会長の奈良・東大寺の北河原公敬長老夫妻と共に、全日本仏教会を代表して、世界経済フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)に参加した。全日本仏教会がダボス会議に代表を派遣するのは、2010年、当時会長だった高野山真言宗の松長有慶管長に続いて2度目である。

reshaping the world、「世界を再形成する」というテーマのもと、世界中から政治家・経済人・学者、少数ではあるが、アーティスト・宗教家がスイス・ダボスの地に集い、議論や意見交換を行った。日本からは安倍晋三総理や日銀の黒田東彦総裁をはじめ、政財界を中心に100人ほど参加し、イランのロウハニ大統領、イギリスのキャメロン首相、イスラエルのネタニヤフ首相など世界の約2千人のリーダーが集まった。

私たちの役割は、ともすれば短期的な狭い視野で議論されがちな政治や経済の分野において、信仰や宗教の力が世界の平和や繁栄のためにどう資することができるのか、仏教の智慧を参加者と分かち合うことにあった。

私たちは、21日の深夜に現地入りし、ロシア政府主催のソチ・オリンピックのレセプションに出席。本格的には22日の午後から行われたセッションから参加した。まずは現地のイギリス国教会にて行われた「拷問を撲滅させよう」というセッションから参加した。ここでは仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教などさまざまな宗教の代表によって拷問の撲滅のためのスピーチと祈りがささげられた。

夕方には安倍首相が行う基調講演を拝聴しに行った。日本の首相がダボス会議で初めて基調講演をするということで、現地でもかなり注目されていた。会場は満員で、このセッションに合わせてスイス大統領がスピーチし、イランのロウハニ大統領もわざわざ来場していた。

首相はユーモアも交えながら全て英語で講演したが、講演後の質疑ではいきなり靖国神社参拝の話題が出て、海外でも注目度が高いことがうかがえた。講演の中で今後日本が達成する課題についても話したが、私個人としてはこちらの方が印象的で、目標は高い方が望ましいにせよ、果たして達成されうるのか、私たちの覚悟と行動力が求められる内容だった。一般に日本の歴代首相は確実に達成し約束できることを述べてきたと思うが、首相の講演内容も変化してきた印象だ。

翌23日には元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏を中心に開催された、日本・アフリカ地域間交流朝食会に参加した。ガーナ大統領やルワンダ財務大臣などアフリカ諸国の要人ならびに日本政府要人と、アフリカに対するこれまでの日本の貢献、今後の支援の在り方について話を進めた。印象的だったのは、日本の長期的な、かつ国や地域をまたいだ支援が非常に高い評価を受けているということ、そして、アフリカでも女性の社会進出が経済的にも社会的にも欠かせないということである。日本ではあまりアフリカ支援について報道はされないが、現地の評価は非常に高く、新鮮な驚きを覚えた。

セッションの合間にはダボス会議を主催しているシュワブ博士や日本人として初めてアメリカ・MITメディア・ラボ所長になった伊藤穣一先生などとも懇談させていただいた。世界各国が自国PRレセプションを開催していたが、Japan NightやJapan Lunchといったイベントはお寿司など和食の評価が非常に高く、ダボスでも一、二を争う人気だった。600人以上が和食を堪能したが、食は所属や立場を超えて輪を広げる力があり、日本の底力を垣間見ることができた。

今回のダボス会議で私が感じたもうひとつ大事なことは、世界の人々が仏教に対して非常に期待されている、ということである。特に20代や30代の若者からそのように感じた。

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