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宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(2/2ページ)

一般社団法人日本家族計画協会 家族計画研究センター所長 北村邦夫氏

2018年7月27日

仕事柄、水子供養寺でひとときを過ごすことがあります。年老いた女性がひざまずき、花を手向けながら涙している姿を遠目に見ながら、「もういいよ。十分だよ」と声を掛けたい気持ちを抑えることができません。

まだ成人にも達していない女性の姿を見かけることもあります。しかし、妊娠とは男性と女性の行為の結果であるにもかかわらず、残念なことに男性が手を合わせている姿を目撃することはありません。だからこそ女性には妊娠をもっと真剣に考えて欲しいのです。若者であれば、誰が何と言おうと低用量ピルを、妊娠経験があるならば子宮内避妊具やピルを避妊法の第一選択とし、さらにコンドームを併用して欲しいものです。

「セックスをするのはまだ早い」と戒めているわけではありません。自分の意思でそれを本当に望むのであれば、誰にも止めることはできません。しかし、「彼に嫌われたくなかった」という言葉に代表されるような主体性を失ったセックスだけは避けて欲しいものです。

妊娠・出産には限界があることを知らせよう

「結婚には適齢期はないけれど、妊娠・出産には限界がある」。最近、私のクリニックに受診している女性に頻繁に向けられる言葉です。今の仕事に就いてから早30年。当初は思春期外来を標榜し、中高校生が大勢集まるクリニックだったのに、その頃の患者がみんなオトナになって……。しかも、女性が取り組める確実な避妊法の代表である低用量ピルを手にした彼女らは、月経困難症の改善や周期調節が自在にできる魅力に取りつかれたのか、一向に服用をやめようとしないことに業を煮やした僕からの発言です。

非婚を決めたわけではないのに、結婚に対しては必ずしも積極的ではなく、近くで見ていると、カルテが分厚くなっていき、その分、年齢もかさんでいくことに一抹の不安を禁じ得ません。「だって、結婚すれば子どもなんて産めるのでしょう」と事もなげにおっしゃる姿が気になっています。

少子高齢化、晩婚化などいまだ日本人が経験したことのない時代を生きる我々にとって必要不可欠な知識くらいは折に触れて教え、学ぶことが大切ではないでしょうか。卵子は受精に不可欠ですが、胎生期に700万個近くあった原始卵胞(卵子のもと)は時間の経過とともに減少し、思春期には20万~30万個、40歳を超える頃には5千個を割るなど、顕著に減少していくことを知る人は意外と少ないものです。

言い換えれば卵子は日々老化(?)し、その数を減らしていくのです。だから、40歳を超えるとなると妊娠はとても難しく、仮に妊娠・出産に至ることがあっても染色体異常などが起こりやすくなります。生活習慣病とも言われる糖尿病、高血圧、高脂血症なども妊娠合併症としては看過できません。

最後に

RHRとは「男女を問わず良好な人間関係の中で、エイズや性感染症の恐れなしに性的関係を営むことができ、産みたいときには産めるように、産めないのであれば確実な避妊を行うことができる」ことと要約できます。

性や生殖をめぐる問題を公に語ることは難しいことですが、そこにも人間の生の本質に関わる重要な課題が横たわっています。本稿が人々の苦に向き合う宗教者の皆様にそんなことを考える一助になれたら幸いです。

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