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四国遍路道の変遷(2/2ページ)

巡礼遍路研究会会長・性善寺住職 柴谷宗叔氏

2022年9月20日 09時29分

このほか、宮崎地図にない道で、地元の研究家らが調べて、ボランティアで通行可能になった古道もあちこちにある。21番太龍寺(徳島県阿南市)周辺の「かも道」「いわや道」(最新の地図には掲載)や、23番薬王寺(同県美波町)から水落への四国の道、足摺岬に至る一部山道、大窪寺への一部古道など。こうした努力で古道が再現されることは非常に喜ばしい。

徒歩遍路は全体の1割以下、多くは車による巡拝である(拙著『公認先達が綴った遍路と巡礼の実践学』〈高野山出版社〉参照)。団体バスも半数近くを占める。冒頭書いたように、車遍路道は回り道を余儀なくされるので長距離となる。山岳霊場では徒歩道と離れることもしばしばである。また、バスは狭い道が通れず、さらに迂回する必要がある。徒歩道と小型車道、バス道と、3通りある。さらに高速道路のインターチェンジの都合で、回る順番を変える場合もある。

もともと都市部では複数のルートが選べる。多くの道が入り組んでおり、宿泊地や買い物の都合で昔からあえて回り道をされてきた。郊外に出ても、カーナビで距離優先と道幅優先では違う道を表示されることもしばしばだ。逆に再開発などで道が付け替えられた結果、古道が失われる場合もある。たとえば徳島市内の徳島大医学部構内には旧伊予街道が通っていたが、現在は通行不能である。

お遍路さんが通る道という意味では、迂回路も含めすべてが遍路道といって良いだろう。車用の遍路地図も複数市販されているが、出版社によって違うルートが記されていることもある。どれを行っても目的地には着く。新しい道ができればそちらのほうが早い場合もある。こうして時代とともに変化していくのが遍路道なのである。

西国三十三所の徒歩巡礼もしたことがあるが、こちらはもっと旧道が廃れている。京阪神近郊の都市部は、開発でわからなくなっているところも多い。山道はハイキングコースを除いてはほとんど残っていない。松尾心空『西国三十三所古道徒歩巡礼地図』に徒歩巡礼道が示されているが、現在歩ける道を記しているので、古道とは離れている箇所が多々ある。徒歩巡礼が廃れば、道が荒れるのも早いという左証である。

西国巡礼道のある関西圏は明治時代以降、鉄道網が発達した。南海高野線のように参詣のために敷設された例もある。西国札所の名を冠する駅は、那智、紀三井寺、粉河、松尾寺(JR)、藤井寺、壺阪山、岡寺、長谷寺(近鉄)、三室戸、石山寺、三井寺(京阪)、総持寺、中山観音(阪急)、醍醐(京都市営地下鉄)、法華口(北条鉄道)、谷汲(名鉄=廃止)とほぼ半数。京都や奈良の都心部と、鋼索線(書写、成相)を含めれば、鉄道で行けない寺はごくわずかと言える。荻原井泉水『観音巡礼』(1928)には「徒歩する者は洋服にリュックを負うたあるかう会の会員といふてあひ」と記し「先を急ぐほんとうの巡礼は却って電車に乗る」と明言している。鉄道中心の巡礼から、車社会に移行すると名鉄谷汲線のように廃止される路線もでてきた。

一方、四国は鉄道の発達が遅れたので、徒歩遍路道が保存されてきた。基本的に明治時代までは歩くしかなかったので、徒歩道しかなかった。昭和になって車社会になると、車道が中心になっていく。もともとの街道を広げた場合もあるが、集落を避けて新道が作られる場合もある。山越えの道にはトンネルが掘られ、大きな川には橋が架かる。徒歩でも車道のほうが歩き易ければ当然車道が選ばれ、旧道は廃れていく。高速道路ができると車はそちらに流れる。さすがに徒歩では通行不可なので、旧車道は残る。こうしてルートは際限なく増えていく。

私はよく「一番たくさんお遍路さんが通っているのは高速道路。だからこれがメーンの遍路道」と話す。実際、ツアーバスが利用する高速道路の区間が一番多くの遍路が通っている道なのは間違いない。だから、遍路道はこうあらねばならないという既成概念は捨てて、通り易い道を選ぶという風に、発想を転換することをお勧めしたい。

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