心に響く3分間法話 やさしい仏教の話…桜井俊彦著
身近な話題から釈尊の言葉や教えを平易に分かりやすくまとめた短編法話集。2㌻で1話、計38話を収録している。著者は東京都豊島区の念仏実践道場、真々園園主で、かつて24年間にわたり、東方学院研究会員として中村元・学院長の指導を受けた。
2021年に新型コロナウイルス感染症に罹患して、生死をさまよい2カ月間入院した時の経緯をつづった思いが胸に迫る。
人工呼吸器のマスクを装着しながら「すべてを阿弥陀さまの御手にゆだねたのだから、光の国へゆく気持ちは晴れやか。光の国からふたたびこの世に戻って、お釈迦さまのように自由自在に人びとを救うことができるという(還相回向)。この世での人々を救うリハーサルを終えて、いよいよ本舞台」と著者は覚悟を決めた末、一命を取り留める。後書きには社会復帰できたことについて「ことばにあらわせないほどのご恩を感じ、与えられた命であることを強く感じております」と吐露している。
釈尊の前世物語(ジャータカ)にある、バラモンに自分の体を焼いて捧げようとしたウサギの話や「お釈迦さま」や「阿弥陀さま」の「目に見えない大きなはたらき」、念仏を称える意味など、中学生の読者を念頭に仏教の教えを説く。
定価1100円、法藏館(電話075・343・0458)刊。