親鸞万華鏡…真宗大谷派編
東本願寺出版が発行する月刊誌『同朋』に2017年7月から23年6月まで連載したインタビュー企画「親鸞万華鏡」のうち30編を1冊にまとめた。大学教授、音楽家、映画監督、作家や詩人ら各界で活躍する30人が、おのおのの親鸞像を語る。
宗教学者の山折哲雄氏は、親鸞壮年期の『教行信証』、60代に手掛けた和讃など表現の変化を指摘した。晩年には「自然法爾」との言葉を残し、呼吸のようにつぶやく念仏へと変化し信仰からも解き放たれた境地にあったのではないかと推察した。
映画監督の森達也氏は「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとえに親鸞一人がためなりけり」との言葉を引用。「群れにならず、一人の個であり続けることの大切さを常に訴えていた」と述べ、親鸞が大きな教団をつくろうとも、大きな寺院を建てようともしなかったことに触れ、人間が集団化するときの利点と副作用があると指摘する。
そのほか南直哉・曹洞宗恐山菩提寺院代と平岡聡・京都文教大教授は、他宗派の視点から見た親鸞がどのような存在かを述べている。
聞き手を大谷派僧侶の川村妙慶氏、花園一実・圓照寺住職、四衢亮・不遠寺住職が務めた。
定価3300円、東本願寺出版(電話075・371・5099)刊。