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第22回「涙骨賞」を募集
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自然を尊重する「和食」の作法 ― 実用・省略・美を内面に含む(2/2ページ)

弓馬術礼法小笠原教場三十一世宗家 小笠原清忠氏

2014年8月28日

箸包みのある場合は、右手で箸を抜き、左手の箸包みは膳の下座脇に置きます。昔は食事の間、箸は膳の右縁にかけて置き、膳の内側に落とせば食事が終わったしるしと決められていました。

最近では、器用に箸を使いこなす外国の方がおられる一方で、正しい箸の持ち方ができない日本人も多くなってきました。また膳の並べ方をはじめ、和食は左利き用に出されることはまずありません。右の物を左でとることは粗相のもととなります。稽古が必要かと思いますが、正式の場所では右手で箸を持たれることをお勧めします。

昔は箸先一寸とか、箸先五分といわれるように、箸先をなるべく汚さないようにと教えられました。口に含んで頬張った形にならない程度の量を箸でとります。ご飯や菜を多量に箸で挟むと、その分、箸先が汚れます。汁物を箸でかき回したり、箸先を汁で濡らしたりすることも嗜みのないこととされています。

食事中は席を離れないようにします。昔より食い抜け・食い逃げといって途中で手洗いに立つこと、食後すぐに退席することを嫌いました。

テーブルに肘をついたり、食事中に頭髪や顔など体に触らないよう注意します。

食物を噛みながら談話することは絶対に避け、また相手が食べ物を口に含んでいる時は話し掛けないようにします。食べ物が口の中にあるときに話し掛けられた場合は、軽く目礼して静かに飲み下してから話に応ずる心得が必要です。話をする時は、箸や器を膳に戻し、手を膝の上に置いて応対します。

物を食べる時に、口を開けて噛む人がいますが、口は結んでいても噛めるものです。周りの人を不快にしますから、口を結んで食べます。また噛む音も大きくならないように静かに噛みます。

いただき方は、まず右の手に箸をとり、左の手で飯椀を持ち、親指を少し掛け、中指と薬指との間に底を挟んで持ちます。この時に箸を持った右手が椀に添うようにします。箸をとり直して二箸食して飯椀を膳に置き、次に箸を持ち替えて汁椀をとり、左の手に据え、汁を吸い、箸をとり直して実を食し、又汁を吸ってから膳に置き、次に飯を食します。

現代作法では、このように汁椀をとるために箸を持ち替えたりすることは煩雑であるとの考えから、汁椀を飯椀の向こうに置くと教えている方もおられますが、煩雑であるからと片付けることではありません。和食の伝統的な食べ方は一朝一夕に作られたものではありません。実用・省略・美を内面に含んだ食文化なのです。

飯、汁、飯を食した後に、菜を食します。まず汁椀の向こうにある菜を食し、また飯を食して、次は飯椀の向こうにある菜を食します。これを繰り返し最後に香の物をいただきます。

一般的な和食においても、野菜類と魚肉類が付けてある場合には、まず飯を食してから野菜類を食し、また飯を食して魚肉類を食することとされています。これは前に食した物の香が、口に残らないようにとの配慮からです。間に飯を食せずに菜から菜へ、また汁から菜へと食すことは避けます。同一の菜を続けて食することも避けます。勧められたものは一口なりとも必ず食べるようにします。

酢の物など汁の滴るものは器を持って食べます。刺身、てんぷらなどは醤油皿や天つゆの器を持ち、刺身などを取って、一旦、膝の上に寄せてから食します。このような時に、醤油をつけた刺身を、手を受け皿のようにしていただく方を頻繁に見掛けますが、本人は品良く食べているつもりでも、その手が汚れた時にはどうするのかを考えれば美しい所作とはいえません。専用の受け皿がない場合には、飯椀の蓋などで代用すべきです。

箸使いのタブーや、その他すべて醜い所作や粗相のないよう注意し、まずは同席者に不快の感を起こさせないよう心掛けなければなりません。

食事には、その人の普段の生活がそのまま表れますので、日頃より特に気をつけるべきものなのです。

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