PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
PR
第22回「涙骨賞」を募集

人口減社会と宗教の役割 地域の人々の心をつなぐ(10月8日付)

2025年10月10日 10時45分

少子化に歯止めがかからない。今回の国勢調査も、その点、喜ばしい結果は期待できそうにない。日本の少子化は世界最速ともいわれる超高齢化と同時進行であるが故に深刻だ。しかし、その危機感が決定的に欠けているといわれて久しく、先日の自民党総裁選でも、深い議論は聞かれなかった。人口減少社会をどう生き抜くか。宗教界も難題が山積しているが、知恵を絞り続けなければ次世代への責任を果たせない。

日本は想定される不都合な事態は「起こらない」ことにし、対処法を考えずに済ます国民性だと、よく指摘される。先の大戦は象徴的で、日本軍の不敗神話を掲げ思考停止のまま破局に突き進んだ。少子化もそれと似る。1970年代半ばには既に出生率が2を割り人口減少は自明だったが、的外れな対策ばかりを重ねた。2023年発足した「こどもまんなか社会」を目指すこども家庭庁も、なぜそれまで子どもは真ん中でなかったのかの真剣な総括を欠き、早くもその成果を疑問視する声を聞く。

〈楽しみは まれに魚煮て 児ら皆が うましうましと いひて食ふ時〉―福井出身の幕末期の国学者・橘曙覧の歌でもうかがえるが、当時の日本は貧しくても子どもにやさしい社会だったらしい。その後、急速な工業化と都市化に伴い子どもを取り巻く環境も激変する。戦前・戦中は「産めよ増やせよ」を国策としたが、近年耳にする「子育て罰」は、逆に長時間労働など子育てを困難にさせる社会の体質を指す。昨年の出生率は統計史上最低の1・15、15歳未満の子どもの数は44年間も続落し1366万人(今年4月時点)だった。

非正規労働の増加を主因とする非婚化・晩婚化など出生率の低下には現代社会の様々な生きづらさが潜み、人口減少は止まりそうにない。ちなみに来年は60年に1度の「丙午」の年だ。前回1966年は出産が前年より46万人も減ったが、主に第2子の出産が控えられた。今回は迷信離れは言うに及ばず、そもそも出産年齢の女性が減少し、影響は出ないという見方が多いようである。

出生率は都市部ほど低く昨年、東京都は0・96だった。大都市の人口集中、地方の疲弊、少子化は続く。前回の国勢調査で男性の4人に1人以上、女性は6人に1人以上が生涯未婚者だった。非婚化が止まらねば、大量の単身高齢者が生まれる。その流れを緩やかにするには、地方を住みよくする思考が重要だ。国にはできない地域の人々の心の絆を結び合わせる努力が、活路を開かないだろうか。

AIの進化の方向 「人間」の領域との関係(10月3日付)10月8日

AIの発達は文字通り日進月歩といえるスピードのようだ。いまや対話型生成AIは人間的に好感の持てる話し方で質問に答えてくれる。AIがお釈迦様に成り代わればどう教えてくれるだ…

大事なのは関係性 被災地での支援活動で(10月1日付)10月2日

多数の犠牲者と甚大な被害をもたらした能登半島地震から1年10カ月、同地の豪雨水害からも1年余りだ。被災地に行くと、まだまだ住宅再建は進まず、道路などのハード面も復興などと…

スマホの使い方 ルール作りを共に考える(9月26日付)9月30日

幼少期における外部環境との接触は、未知との遭遇である。成長するに従い、その経験数が増えることで自己との関係性を理解し、他人や社会との関わり方や距離感を学び、自立した自己へ…

輿に乗り金堂へ向かう吉田化主

宗風宣揚へ決意示す 僧俗400人が随喜 総本山智積院吉田化主晋山

ニュース10月10日

総研「定年」引き下げ 流用事件、債権を放棄 浄土宗定宗閉会

ニュース10月10日
追弔法要は「戦没者お骨仏」(右端)の尊前で渋谷門主(先頭)親修のもと厳修された。左端は焼香する八木総長

平和の尊さ心に刻む 佛光寺派、戦後80年で戦没者追弔 戦争孤児の遺骨・追悼地蔵 本廟移設へ

ニュース10月10日
  • お知らせ
  • 「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
    長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
  • 論過去一覧
  • 中外日報採用情報
  • 中外日報購読のご案内
  • 時代を生きる 宗教を語る
  • 自費出版のご案内
  • 紙面保存版
  • エンディングへの備え―
  • 新規購読紹介キャンペーン
  • 広告掲載のご案内
  • 中外日報お問い合わせ
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加