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人口減社会と宗教の役割 地域の人々の心をつなぐ(10月8日付)

2025年10月10日 10時45分

少子化に歯止めがかからない。今回の国勢調査も、その点、喜ばしい結果は期待できそうにない。日本の少子化は世界最速ともいわれる超高齢化と同時進行であるが故に深刻だ。しかし、その危機感が決定的に欠けているといわれて久しく、先日の自民党総裁選でも、深い議論は聞かれなかった。人口減少社会をどう生き抜くか。宗教界も難題が山積しているが、知恵を絞り続けなければ次世代への責任を果たせない。

日本は想定される不都合な事態は「起こらない」ことにし、対処法を考えずに済ます国民性だと、よく指摘される。先の大戦は象徴的で、日本軍の不敗神話を掲げ思考停止のまま破局に突き進んだ。少子化もそれと似る。1970年代半ばには既に出生率が2を割り人口減少は自明だったが、的外れな対策ばかりを重ねた。2023年発足した「こどもまんなか社会」を目指すこども家庭庁も、なぜそれまで子どもは真ん中でなかったのかの真剣な総括を欠き、早くもその成果を疑問視する声を聞く。

〈楽しみは まれに魚煮て 児ら皆が うましうましと いひて食ふ時〉―福井出身の幕末期の国学者・橘曙覧の歌でもうかがえるが、当時の日本は貧しくても子どもにやさしい社会だったらしい。その後、急速な工業化と都市化に伴い子どもを取り巻く環境も激変する。戦前・戦中は「産めよ増やせよ」を国策としたが、近年耳にする「子育て罰」は、逆に長時間労働など子育てを困難にさせる社会の体質を指す。昨年の出生率は統計史上最低の1・15、15歳未満の子どもの数は44年間も続落し1366万人(今年4月時点)だった。

非正規労働の増加を主因とする非婚化・晩婚化など出生率の低下には現代社会の様々な生きづらさが潜み、人口減少は止まりそうにない。ちなみに来年は60年に1度の「丙午」の年だ。前回1966年は出産が前年より46万人も減ったが、主に第2子の出産が控えられた。今回は迷信離れは言うに及ばず、そもそも出産年齢の女性が減少し、影響は出ないという見方が多いようである。

出生率は都市部ほど低く昨年、東京都は0・96だった。大都市の人口集中、地方の疲弊、少子化は続く。前回の国勢調査で男性の4人に1人以上、女性は6人に1人以上が生涯未婚者だった。非婚化が止まらねば、大量の単身高齢者が生まれる。その流れを緩やかにするには、地方を住みよくする思考が重要だ。国にはできない地域の人々の心の絆を結び合わせる努力が、活路を開かないだろうか。

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