創学研究Ⅲ ――世界宗教論…創学研究所編
創価学会の信仰に基づく学問の形成を目指す創学研究所は昨年、設立5周年記念シンポジウムを催した。本書は「世界宗教」をテーマとした同シンポでの発表内容を中心に9本の論文を所収している。
創価学会では近年、各国との交流を加速させるなど「世界宗教化」を進め、内部的にも「世界宗教」の言葉が顕著に語られるようになっている。そうした情勢を踏まえた上で「世界宗教」概念の整理や、牧口常三郎・戸田城聖・池田大作の創価学会三代会長の思想に基づく世界宗教観、アメリカ社会における創価学会の受容などが論じられている。
三浦健一研究員は「世界宗教化」という言葉について、一般的には「特定の地域に限定された特殊な民族宗教の世界宗教への進化」という意味付けがなされる一方で、信仰学的には「全宇宙に通じる普遍の法理を実践する世界宗教の現実化」として使用されていると解説。また「世界広宣流布(世界広布)」とは、世界宗教として確立された日蓮仏法を現実に展開する運動であり、それは時代に即した絶えざる布教表現の変容を伴って実践されること、そしてそこには「人道的競争」「地球民族主義」といった思想が通底していると説く。「世界宗教」を通して、創価学会の内在的論理を知ることができる一冊。
定価1980円、第三文明社(電話03・5269・7145)刊。
