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中外日報社「宗教文化講座」

お坊さんヘルパーと宗教法人による介護サービス事業(2/2ページ)

宗教法人西栄寺 介護福祉事業部長 吉田敬一氏

2016年6月24日

2点目は、1点目に対し、国の施策として今後は、医療と介護は連携を深めながら在宅支援へと移行しつつある(注5)。それに沿って介護事業を展開するなら、訪問介護事業や居宅介護支援事業、またはデイサービスといわれる通所介護事業などであり、これらは宗教法人も許認可の対象である。

3点目は、宗教法人の中でも特に仏教寺院は、檀信徒に対し命日参りや棚経など仏事的な訪問の支援を今まで積み重ねた実績がある。これは訪問型の介護事業者からみれば得難い能力なのだ。

これらの要素を体系的に評価すれば、宗教法人は在宅支援での介護事業に適しているうえ、その意義も極めて大きいといえる。つまり、宗教法人にとって、信者の高齢化に対し宗教者自ら介助者になることで、密度の高い関係性を築きつつ高度な伝道が可能になる。さらに、宗教法人の介護事業者として、信者のみならず地域包括ケア(注6)の枠組みの中で、地縁に溶け込みながら宗教法人の秘めた能力を発揮できれば、地域福祉事業の連携において強い牽引力になる。

教義の伝道を行う宗教者としては檀信徒よりお布施をたまわり、お坊さんヘルパーとしては介護保険報酬を国民健康保険団体連合会より受け取ることにより、寺院と介護事業両方を支えることができる。法人税法上、宗教法人による公益事業の収益は課税対象に該当するため(注7)、宗教法人が介護事業で得た収益は、特別会計処理をして納税義務を果たさなければならない。

宗教離れや無宗教の台頭を解消するなら、宗教法人は時代の季節風にのって大きく舵を切るべきだ。そのために宗教法人は積極的に収益事業を行い、法人の運営を充実させることが肝要だ。私自身の考えだが、収益事業といっても、あくまで、人びとの苦しみや悲しみに寄り添うような福祉実践が望ましいし、その方が宗教者としての役割は大きい。

どの宗教にも「苦」という真理がある。人びとがもがき苦しむ現場から宗教が生まれてきた、そういう現場にこそ宗教者が求められているのは明らかだ。もともと信仰に基づいた慈善活動が社会福祉に変遷した宗教的史実を読み解きながら(注8)、原点に帰ることで、宗教者としての在り方を組み立て直す必要があるのではないだろうか。

宗教法人の在り方

西栄寺介護福祉事業は、2016年度、地域の訪問介護事業所連絡会の会長役を任された。これは、お坊さんヘルパーや宗教法人の介護事業が、地域で認められ期待されている表れだ。さらに、西栄寺の境内地に、3階建て延べ床面積約864平方メートルの、デイサービス及びサービス付き高齢者向け住宅の建設も始まった。デイサービスでは比較的元気な高齢者を対象に、生活の質を維持するための生活リハビリテーションに重点を置いた支援を計画している。2・3階のサ高住に関しては、主に終末期の高齢者を看取るための施設として、地域の病院や診療所との間で協力医療機関契約を締結した。

私はこのような成果に甘んじることなく、公共救済の渦中で宗教法人がどうあるべきか、また宗教者の求められていることは何なのか、今一度、福祉実践の中に身を預け、己の信仰を確かめつつ、苦しい道のりではあるが、石にかじりついてでも探究することを宣言して本稿を結ぶ。

(注1)内閣府 高齢社会白書
(注2)厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会(第45回)資料4(2013年6月6日)
(注3)谷山洋三『医療者と宗教者のためのスピリチュアルケア』(中外医学社 2016年)
(注4)厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会(第45回)資料3(2013年6月6日)
(注5)厚生労働省 在宅医療・介護の推進について
(注6)厚生労働省 福祉・介護 地域包括ケアシステム
(注7)国税庁 介護サービス事業に係る法人税法上の取扱いについて(法令解釈通達)課法2-6(2000年6月8日)
(注8)佛教大学通信教育部編 『社会福祉学』 佛教大学

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