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宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第22回「涙骨賞」を募集
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第22回「涙骨賞」を募集

9・11から20年(2/2ページ)

黒住教教主 黒住宗道氏

2021年9月30日 09時22分
ローマ法王に伝言

翌02年1月に、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世の呼び掛けによりイタリアのアッシジで開催された「世界平和のための祈りの集い」の案内を受けたので、私は差し出がましいと思いながら行動を起こしました。「ローマ法王、初のモスク訪問」のニュースが世界を駆け巡ったのは01年の5月のことでした。ダマスカスのウマイヤ・モスクを訪問したヨハネ・パウロ二世法王を迎えたシリアのイスラーム最高権威者(グランド・ムフティ)のアフマド・クフタロ師を存じ上げていたので、「グランド・ムフティからのメッセージをローマ法王に届けたい」という手紙を第一秘書のファーロック・アクビック師に送ったのです。すると、数日後に「世界の宗教指導者および信者の方々が、手を携えて真剣に真の平和を目指して力を合わせられますように」とのクフタロ師の言葉が明記されたメールが届きました。この貴重なメッセージをどうやってローマ法王に届けようかと思いましたが、あっけなく実現の運びとなりました。ローマで私を待って下さっていたのは、当時バチカンで教皇庁教育次官であった元上智大学学長のヨセフ・ピタウ師で、食事の席でメッセージのことをお話しすると、「明日、私が教皇に届けましょう」と事も無げに言って下さったのです。

実は、17年8月に開催された「比叡山宗教サミット30周年記念 世界宗教者平和の祈りの集い」に招かれたアクビック師と再会して、クフタロ師のメッセージが記されたメールをお見せしました。熟読して師は当時をはっきり思い起こされたようで、メッセージがローマ法王に無事届けられたことを、改めて喜んで下さいました。

世界の諸宗教指導者の努力と連帯によって、短絡的な「イスラーム圏とキリスト教圏の文明の衝突」という誤解と不安は杞憂に終わりましたが、「テロとの戦い」の名のもとに展開された争いの歴史は泥沼化する一方です。

タリバン復活予見

02年3月23日、金光町民会館(岡山県)を会場に、金光教平和活動センターとRNNの共同主催による公開講演会「救いの大地~アフガニスタン復興への歩み~」が、ペシャワール会の中村哲現地代表(当時)を講師に迎えて開催されました。米国による報復攻撃によりタリバン政権が崩壊し、暫定統治機構が樹立され、東京で復興支援会議が開催されて間もない頃のことで、行く末を案じる中村氏の次の言葉は、20年後の今も深く胸に刺さります。

・カブール陥落後、世界のメディアは一斉にブルカを脱いだ女性の姿を映して、タリバン政権からすべてが解放されたように伝え、世界各地からNGOが支援に駆けつけて活動し、東京復興支援会議で解決したように伝えているが、解放されたのは売春の自由、麻薬を作る自由で、無秩序の状態。タリバン時代の方が百倍マシで、現地は依然厳しい状態。

・少なくとも、この1世紀以上かけて確立されたアフガニスタンというアイデンティティは決して外国人が崩してはいけない。

・タリバン運動というのは、また復活するだろうと思う。ある意味でアフガン社会のエッセンスのような政権だったので、必ず何らかの形で復活すると思っている。

・今回の講演に招かれて私が最もうれしかったのは、いろいろな宗教を超えて、大切なものに向かって一致して取り組まれているということで、これがいま一番世界で求められているものではないかと思う。

心ひとつに、ともに祈り行動する宗教者であり続けたいと思っています。

三木清 非業の死から80年 岩田文昭氏10月27日

三木の思索の頂点なす著作 三木清(1897~1945)が豊多摩刑務所で非業の死をとげてから、今年で80年を迎える。彼が獄中で亡くなったのは、日本の無条件降伏から1カ月以上…

《「批判仏教」を総括する⑦》批判宗学を巡って 角田泰隆氏10月20日

「批判宗学」とは、袴谷憲昭氏の「批判仏教」から大きな影響を受けて、松本史朗氏が“曹洞宗の宗学は、「伝統宗学」から「批判宗学」に移行すべきではないか”として提唱した宗学であ…

《「批判仏教」を総括する⑥》縁起説と無我説を巡る理解 桂紹隆氏10月17日

「運動」としての批判仏教 1986年の印度学仏教学会の学術大会で、松本史朗氏が「如来蔵思想は仏教にあらず」、翌87年には袴谷憲昭氏が「『維摩経』批判」という研究発表をされ…

意思決定支援の試み その人らしさの重要性(10月29日付)

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    長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
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